2025年6月2日
外国人人権法連絡会

第1章 総則
(目的)
第1条 この法律は、日本国憲法、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する条約(1995(平成7)年条約第26号。以下「人種差別撤廃条約」という。)及び市民的及び政治的権利に関する国際規約(1979(昭和54)年条約第7号)の理念に基づき、国及び地方公共団体が人種差別を終了させる責務を有することを改めて確認し、深刻な人種差別が人々を苦しめ、社会を分断している事態を踏まえ、人種差別の禁止等に係る基本原則を定めるとともに、人種差別の撤廃に関する国等の責務及び基本的施策の具体的な内容、人種差別撤廃センターの設置その他の事項を定めることにより、人種差別の撤廃に関する政策を総合的かつ一体的に推進し、外国人その他の人種等に係るマイノリティの人権を擁護し、もって全ての人の尊厳と多様性を尊重し、人種差別のない、誰一人取り残さない多民族多文化共生社会を形成することを目的とする。

(定義)
第2条 この法律において「人種等」とは、人種、皮膚の色、民族的若しくは種族的出身、世系若しくは社会的身分又は国籍をいう。
2 この法律において「人種差別」とは、人種等に基づく区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる社会生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。
3 この法律において「言動」とは、次に掲げる態様によるものを含むものとする。
一 他人の言動の内容を記録した印刷物、光ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)その他の物の頒布又は公然陳列
二 インターネットその他の高度情報通信ネットワークを利用して他人の言動の内容を記録した文書図画又は画像等を不特定多数の者による閲覧又は視聴ができる状態に置くこと
三 前二号に定めるもののほか、他人の言動の内容を拡散する活動
4 この法律において「人種等に係るマイノリティ」とは、人種等に関する共通の属性を有する社会的少数者をいう。
5 この法律において「差別犯罪」とは、刑法(1907(明治40)年法律第45号)、この法律その他の法令の罪であって、人種等を理由とする憎悪その他の人種等への偏見を動機とするものをいう。
6 この法律において「複合差別」とは、人種等を理由とする差別に加えて性別、性的指向若しくは性自認又は障害等の他の属性を理由とする差別が交差するものをいう。

(基本原則)
第3条 人種差別は、職域、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において撤廃されなければならない。
2 人種差別を撤廃するための政策の策定及び推進は、人種等に係るマイノリティのアイデンティティが尊重され、人種等に係るマイノリティが誇りをもって、差別されることなく平穏な生活ができることを旨として行われなければならない。
3 人種差別を撤廃するための政策の策定及び推進は、人種等に係るマイノリティと緊密に協議し、かつ、人種等に係るマイノリティを積極的に関与させなければならない。

(人種差別の禁止)
第4条 何人も、次の各号に該当する行為(以下「差別的行為」という。)その他の人種差別をしてはならない。
一 採用、労働条件その他の労働関係、団体への加入、医療、社会保障、教育、物品の販売、役務の提供その他の社会生活の分野における特定の者に対する人種等を理由とする差別的取扱い
二 人種等を理由とする侮辱その他の特定の者に対する人種等を理由とする差別的言動
三 人種等に係るマイノリティである不特定の者について社会から排除し、 又は憎悪、差別的意識若しくは暴力をあおり、若しくは誘発することを目的として、公然と行われる人種等を理由とする差別的言動であって、次に掲げるもの
イ 著しい侮辱
ロ 風説を流布し、又は偽計を用いて、人種等に係るマイノリティを貶め、又は人種等に係るマイノリティについて否定的な評価をもたらすもの
ハ 人種等に係るマイノリティの生命、身体、自由、名誉又は財産に対して危害を加えることの告知又は助長
ニ 人種等に係るマイノリティをその居住する地域社会から排除することの告知又は助長
四 差別的意識をあおり又は誘発することを目的とする人種等を理由とする差別的言動であって、次に掲げる情報を頒布、掲示又はこれらに類する方法により公然と摘示するもの(摘示した事実の真否にかかわらない。)
イ ある者が人種等に係るマイノリティであるとの情報
ロ ある者が人種等に係るマイノリティであることを容易に識別することができる特定の地名、氏、その他の情報
五 人種等を理由とする差別的取扱いを行うことを表示し、又は助長する言動
2 差別的行為は下記の形態のものを含む。
一 間接差別 人種等以外の事由を理由とする措置・基準であって、人種等に 係るマイノリティに対し、それ以外の者と比較して、合理的な理由なく実質的に不利益を与えるもの
二 ハラスメント 差別事由に関連した意に反する行為が行われ、それが人の尊厳を侵害し、その人に対し威圧的、敵対的、品位を傷つける、屈辱的又は攻撃的な環境を作り出す目的又は効果をもつもの
三 合理的な配慮の不提供 人種等に係るマイノリティが人権及び基本的自由の享有又は行使並びに平等な参加をするための変更、調整若しくは支援を必要とし、それを必要としている人種等に係るマイノリティが現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときに提供しないこと
四 みなし差別  人種等に係るマイノリティに属していない者に対し、属しているとみなして不利益を与えるもの
五 関係者差別  人種等に係るマイノリティの家族その他の関係者であることを理由として不利益を与えるもの
3 何人も、人種差別の被害者又はその関係者が人種差別に対する是正・保護・救済等を求めることを理由として不利益に取り扱ってはならない。
4 人種等に係るマイノリティが、類似の状況にある他の者と異なる取扱いを受けたことにより不利益を受けたこと及びその異なる取扱いが人種等に起因していることを疎明したときは、人種等を理由とする差別的取扱いを受けたものとみなす。ただし、当該取扱いを行った者が、異なる取扱いを行ったことについて客観的かつ合理的な理由があることを証明した場合は、この限りでない。
5 人種等に係るマイノリティによる平等な人権及び基本的自由の享有又は行使を確保し促進することを目的として行われる行為は、本条の差別的行為に該当しない。

(国及び地方公共団体の責務)
第5条 国は、第3条に規定する基本原則にのっとり、人種差別の撤廃に関する政策(以下「国の人種差別撤廃政策」という。)の策定及び実施を行うものとする。
2 国及び地方公共団体は、人種差別の行為又は慣行に従事せず、全ての公の当局及び関連機関がこの義務にしたがって行動するよう確保しなければならない。
3 国及び地方公共団体は、いかなる個人又は団体による人種差別も後援、擁護、支援又は支持してはならない。
4 国及び地方公共団体は、あらゆる政策が、人種差別を生じさせたり、永続化させたりする効果を持たないよう確保しなければならない。
5 国及び地方公共団体は、人種差別の防止及び解消並びに人種差別の被害者の効果的な救済のための政策及び法制度を整備するものとする。
6 国及び地方公共団体は、全ての分野の公的な政策決定に係る意思決定において、人種差別を撤廃し平等を実現するよう考慮するものとする。
7 国及び地方公共団体は、人種等に係るマイノリティに関し、不平等を軽減し又は克服し、かつ平等を実現するために必要な範囲内で暫定的に積極的な是正措置をとるものとする。
8 国及び地方公共団体は、人種差別撤廃条約その他の人種差別に関する国際人権法に合致するよう、法令を解釈し、運用、執行しなければならない。
9 地方公共団体は、第3条に規定する基本原則にのっとり、当該地方公共団体における人種差別の実態に応じた、当該地方公共団体における人種差別撤廃政策(以下「地方公共団体の人種差別撤廃政策」という。)の策定及び実施を行うものとする。
10 国は、国の人種差別撤廃政策を効果的に実施するため、地方公共団体、人種差別の撤廃に関する活動を行う民間の団体その他の関係者相互間の連携協力体制の整備を行うものとする。
11 人種差別撤廃政策の策定及び実施が国際人権法上の責務であること及び実現のための政策が国際社会における取組と密接な関係を有していることに鑑み、第1条に規定する社会の実現は、国際連合その他の国際機関、近隣諸国、日本における外国籍者の出身国その他の関係諸国との国際的協調の下に図られなければならない。

(事業者の責務)
第6条 事業者は、第3条に規定する基本原則の趣旨を踏まえ、人種差別の撤廃について理解を深め、その事業活動及び事業所の運営において、人種差別のない地域社会の実現にむけた必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 事業者は、国の人種差別撤廃政策及び事業を行っている地域の地方公共団体の人種差別撤廃政策に協力するよう努めなければならない。
3 事業者は、職場における人種差別を撤廃するため、対処方針の策定並びにその周知及び啓発、第三者による相談体制の整備、相談があった場合の迅速かつ適切な対応その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

(市民の責務)
第7条 市民は、第3条に規定する基本原則の趣旨を踏まえ、人種差別の撤廃について理解を深め、人種差別のない社会の実現に寄与するよう努めなければならない。
2 市民は、国の人種差別撤廃政策並びに居住、通勤若しくは通学している地域の地方公共団体の人種差別撤廃政策に協力するよう努めなければならない。

第2章 国及び地方公共団体の基本方針、基本計画及び基本的施策

第1節 基本方針及び基本計画
(基本方針等)
第9条 政府は、人種差別撤廃政策の総合的かつ一体的な推進を図るため、人種差       別の撤廃に関する基本的な方針(以下「政府基本方針」という。)を定めなければならない。
2 政府基本方針には、次に掲げる事項を含まなければならない。
一 国の人種差別撤廃政策の意義及び基本理念
二 人種差別の現状及び人種差別撤廃政策の目標に関する事項
三 政府が実施すべき人種差別撤廃政策に関する基本的な方針
四 人種差別撤廃のための体制に関する事項
五 人種差別撤廃に係る分野ごとの施策に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、人種差別撤廃政策を推進するために必要な
 事項
3 政府は、政府基本方針の案の作成に当たっては、人種差別撤廃センターの意見を聴かなければならない。
4 政府は、政府基本方針の作成に当たっては、人種差別及び複合差別の実態を踏まえなければならない。
5 政府は、政府基本方針の作成に当たっては、人種差別の多様な被害者の意見を聴取し、その意見を尊重しなければならない。
6 政府は、政府基本方針を定めたときは、遅滞なく、国会に報告するとともに、公表しなければならない。
7 前4項の規定は、政府基本方針の変更について準用する。
8 都道府県は、政府基本方針を踏まえ、当該都道府県における人種差別の実態に応じた当該都道府県における基本方針を作成しなければならない。
9 第2項から第6項までの規定は、都道府県の基本方針の作成及び変更について、それぞれ準用する。この場合において、第6項中「政府」とあるのは「当該都道府県の知事」と、「国会」とあるのは「当該都道府県の議会」と読み替えるものとする。

(政府基本計画等)
第10条 政府は、政府基本方針を総合的かつ計画的に推進するため、国の人種差別撤廃政策に関する基本的な計画(以下「政府基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 都道府県は、政府基本計画及び当該都道府県のおける前条第8項の基本方針を踏まえ、当該都道府県における人種差別の実態に応じた当該都道府県における基本計画を策定しなければならない。
3 市町村及び特別区(以下「市区町村」という。)は、政府基本計画及び前項の基本計画であって、当該市区町村の属する都道府県が策定したものを踏まえ、当該市区町村における人種差別の実態に応じた当該市区町村における基本計画を策定しなければならない。

(財政上の措置等)
第11条 国は、国の人種差別撤廃政策を実施するため必要な財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

(実施状況及び国内の状況の報告)
第12条 政府は、毎年、国会に対し、政府基本方針、政府基本計画及び国の人種差別撤廃政策の実施状況並びに人種差別に係る国内の状況(第23条の調査の結果及び統計を含む。)について報告するとともに、これを公表しなければならない。

第2節 基本的施策
(相談体制の整備)
第13条 国及び地方公共団体は、人種差別に関する相談に的確に応ずるとともに、人種差別に関する紛争の予防及び解決を図るために必要な体制を整備するものとする。

(教育の充実等)
第14条 国は、地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、人種差別撤廃条約をはじめとする国際人権法の諸規定、人種差別の歴史、人種等に係るマイノリティの歴史、文化、宗教、言語に関する教育活動その他の人種差別を撤廃するための教育活動を実施するとともに、そのために必要な措置を講ずるものとする。
2 国及び地方公共団体は、人種等に係るマイノリティである子どもが、その集団の他の構成員とともに自己の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、自己の言語を使用する権利を有することに鑑み、公教育においてかかる権利を尊重するとともに、人種等に係るマイノリティが自己の教育活動(学校の維持及び、自己の言語の使用又は教授を含む。)を行うための政策及び法制度を整備するものとする。

(啓発活動等)
第15条 国及び地方公共団体は、人種差別の撤廃について広く一般の関心と理解を深め、人種差別の撤廃を妨げている諸要因の解消を目的とする広報その他の人種差別を撤廃するための啓発活動を実施するとともに、そのために必要な措置を講ずるものとする。
2 内閣総理大臣及び関連する地方公共団体の長は、事故、事件、災害などが発生した場合において、人種差別を誘発助長する風説の流布又は人種差別の扇動が確認されたときには、速やかに非難し、正確な事実を公表するなどして、人種差別の拡散を抑止するための具体的な啓発活動を行うものとする。
3 内閣総理大臣及び関連する地方公共団体の長は、差別犯罪の発生が確認され、又は予見されるときは、直ちに差別犯罪への非難を公表するなどの方法により、差別犯罪の発生及び続発を防止する啓発活動を行うものとする。

(多様な文化等に関する情報の提供等)
第16条 国及び地方公共団体は、人種等に係る属性を異にする者の間の相互理解及び相互交流を促進し、その友好関係の発展及び差別の撤廃に寄与するため、多様な文化、生活習慣等に関する適切な情報の提供、関係施設の設置その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、関係する国際人権基準、裁判例等、国内外における人種差別の撤廃のための取組に関する最新の情報を収集及び整理し、ウェブサイト等で情報を速やかに提供するものとする。

(公務員に対する研修等)
第17条 国及び地方公共団体は、人種差別に対する公務員の関心と理解を深めるとともに、公務員に対し、人種差別を行わず、又はこれを助長し若しくは支持することのないよう、定期的に研修を実施する。裁判、検察若しくは警察の職務を行う者若しくはこれらの職務を補助する者又は法令により拘禁された者を看守し若しくは護送する者に対しては、これらの者が人種差別を行い又は人種差別を助長し若しくは支持することの影響の大きさに鑑み、特に研修の内容及び頻度を十分なものとする。
2 国及び地方公共団体は、公務員が人種差別を行ったことを当該公務員の懲戒事由として規定しなければならない。

(差別犯罪)
第18条 司法警察職員及び検察官は、差別犯罪が人種等に係るマイノリティに与える恐怖その他の被害の深刻さ及び社会に与える悪影響に鑑み、差別犯罪がなされたことを疑うに足りる相当な理由があるときには、捜査にあたり、人種差別に係る犯行の動機の存否及び内容について捜査するものとする。
2 検察官は、差別犯罪がなされたと思料するときは、公訴の提起及び遂行にあたり、当該事情を考慮しなければならない。
3 裁判所は、人種差別に係る犯行の動機を認定したときは、刑の量定にあたり、当該事情を考慮しなければならない。
4 国は、差別犯罪の捜査、公訴の提起及び判決の状況に関する調査を実施し、差別犯罪に関する統計(人種等に係る当該属性ごとに係る認知件数、検挙件数及び検挙人員、終局処理人員並びに有罪人員及び無罪人員を含むもの)を作成するものとする。この調査の実施及び統計の作成に当たっては、差別犯罪であって、複合差別であるものについても留意するものとする。

(インターネットを通じて行われる人種差別の撤廃)
第19条 国は、インターネットを通じて行われる人種差別による被害の発生の防止、被害者の迅速かつ実効的な救済、被害者の負担の軽減のため、インターネット事業者の対応すべき事項を定めた法令の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 国は、インターネット事業者において、インターネットを通じて行われる人種差別を撤廃するために行う、定型約款その他の関係規程における人種差別の禁止規定の整備、禁止行為についての迅速かつ適切に苦情を受け付け、是正し、削除するための体制の整備その他の自主的な取組を支援するために必要な措置を講ずるものとする。
3 地方公共団体は、当該地方公共団体の住民に対するインターネットを通じて行われる人種差別について調査を実施し、人種差別を発見した場合はインターネット事業者に対して迅速に削除要請を行うなど被害者の負担の軽減のための具体的取組を行うものとする。
4 インターネット事業者は、国の人種差別撤廃政策及び事業を行っている地域の地方公共団体の人種差別撤廃政策に協力するものとする。

(被害者の包括的な救済対策の整備)
第20条 国は、人種差別の被害者の救済のため、前条第1項に規定する措置及び第3章第2節の差別的行為の撤廃に関する措置を講ずるほか、医療の提供、職場や住居のあっせん、裁判支援など被害者救済のための包括的な体制を整備するものとする。

(交付金の支給等)
第21条 国は、地域社会における人種差別を撤廃する事業を実施する地方公共団体に対し、当該事業の実施に要する経費に充てるため適切な交付金を支給する方法等により、地域社会における人種差別を撤廃する事業を促進するために必要な措置を講ずるものとする。

(民間団体の活動の促進)
第22条 国及び地方公共団体は、人種等に係るマイノリティの文化、言語を守る活動など、人種差別の撤廃に関する自主的な活動を行う民間団体が果たしている役割の重要性に留意し、人種差別の撤廃に関する業務を適正かつ確実に行うことができると認められる民間団体に必要な活動を委託する方法等により、人種差別の撤廃に関する活動を促進するために必要な措置を講ずるものとする。
    2 前項により委託先となる民間団体の選定については、人種差別撤廃センターに意見を求め、その意見を尊重しなければならない。

(政策の策定及び実施のための調査)
第23条 国は、国の人種差別撤廃政策の策定及び実施のため、人種差別の実態を明らかにすることを目的として、年に1回、人種差別の実態に関する調査を行い、その結果を国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 前項の調査においては、インターネットを通じて行われる人種差別及び複合差別の実態についても対象としなければならない。
3 インターネットを通じて行われる人種差別及び複合差別の実態に関する調査について、インターネット事業者は協力しなければならない。

(人種等に係るマイノリティの意見の反映)
第24条 国は、国の人種差別撤廃政策の策定及び実施に当たっては、人種等に係るマイノリティの意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

(国の施設の利用制限等)
第25条 国は、公衆の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために設けられた国の施設(以下単に「国の施設」という。)の利用許可の申請があった場合において、当該申請に係る利用により国の施設において差別的行為が行われるおそれが客観的な事実に照らして具体的に明らかに認められるときは、これを許可してはならない。
2 国は、国の施設の利用許可の申請に係る許可をした場合であっても、その後に当該申請に係る利用により国の施設において差別的行為が行われるおそれが客観的な事実に照らして具体的に明らかに認められるに至ったとき、又は当該申請に係る利用により国の施設において差別的行為が現に行われている事実を認めたときは、当該許可を取り消さなければならない。
3 国は、国の施設の利用許可の申請があった場合において、当該申請に係る利用により国の施設において差別的行為が行われるおそれが客観的な事実に照らして認められるとき(ただし、第1項に規定する場合を除く。)は、差別的行為を行わないよう警告し、又は利用条件の付加その他の差別的行為を防止するために必要最小限度の制限を付して許可することができる。
4 国は、国の施設の利用許可の申請があった場合において、当該申請に係る利用により国の施設において差別的行為が行われるおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるときは、人種差別撤廃センターの意見を聞かなければならない。
5 国は、国の施設の利用許可の申請の許否を判断するに当たっては、人種差別撤廃センターの意見を尊重するものとし、人種差別撤廃センターの意見と異なる判断をするときには、その理由を公表しなければならない。
6 国は、国の施設の利用許可の申請の許否を判断するに当たっては、その処分が表現行為に対する事前抑制となり得るものであることに鑑み、表現の自由を不当に侵害することのないよう、十分に留意しなければならない。
7 地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために設けられた公の施設において差別的行為が行われることがないよう、次条第11項のガイドラインの内容を、施設に係る利用規則について参照するなどの具体的措置を講じなければならない。

(人種差別撤廃センターによる利用許否等調査手続)
第26条 人種差別撤廃センターは、国の施設の利用許可の申請について、当該申請に係る利用により国の施設において差別的行為が行われるおそれが客観的な事実に照らして具体的に明らかに認められるか否かにつき、当該利用により被害を受けるおそれがある者若しくは当該利用により行われるおそれがある差別的行為が対象とする人種等に係るマイノリティであって当該人種等に関する共通の属性を有する者により構成される団体の請求により又は職権で、調査手続(以下「利用許否等調査手続」という。)を開始し、その旨を速やかに当該施設管理者に通知するものとする。
2 人種差別撤廃センターは、必要と認めるときは、利用許否等調査手続において事実の調査をすることができる。
3 人種差別撤廃センターは、国又は第1項の規定による請求をした者に対し、意見の陳述及び資料の提出を求めることができる。
4 人種差別撤廃センターは、適当と認める者から事情を聴取することができる。
5 人種差別撤廃センターは、利用許可を申請した者に対し、相当の期間を定め て、書面により意見を述べ、及び資料を提出する機会を与えなければならない。ただし、差別的行為が行われるおそれが客観的な事実に照らし具体的に明らかに認められ、かつ緊急性があるとき、又は利用許可を申請した者の所在が判明しないときは、この限りではない。
6 人種差別撤廃センターは、利用許可を申請した者から請求があった場合であって、必要があると認めるときは、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
7 利用許可を申請した者は、前項により意見を述べるときには、人種差別撤廃センターの許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。補佐人は、弁護士のうちから選任するものとする。
8 人種差別撤廃センターは、必要があると認めるときは、その指名する委員に次に掲げる事項を行わせることができる。
一 第4項の規定による事情の聴取
二 第6項の規定による意見の聴取
9 利用許否等調査手続は、公開しない。ただし、人種差別撤廃センターが許可 した場合を除く。
10 人種差別撤廃センターは、利用許否等調査手続を終結したときは、遅滞なく、当該利用許可申請の許否等に関する意見を書面により当該施設管理者に通知しなければならない。
11 人種差別撤廃センターは、国の施設の利用制限に係るガイドラインを策定し、公表するものとする。
第3章 人種差別撤廃センター
第1節 設置、任務及び所掌事務並びに組織等
(設置)
第27条 内閣の所轄の下に人種差別撤廃センター(以下「センター」という。)を置く。
2  センターは、東京都に置く中央センター及び地方センターをもって構成する。

(任務)
第28条 センターは、国の人種差別撤廃政策を総合的かつ効果的に推進することを任務とする。

(所掌事務)
第29条 中央センターは、前条の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
一 法制度の整備、政府基本方針の策定及び推進をはじめとする国への提
言に関すること。
二 人種差別の被害者の救済に関すること。
三 国の施設の利用制限に関する調査と提言に関すること。
四 国の人種差別撤廃政策についての広報及び啓発に関すること。
五 人種差別の撤廃のための教育に関すること。
六 公務員等に対する人種差別の撤廃のための研修に関すること。
七 人種差別的言動及び差別犯罪の防止に関すること。
八 前各号に掲げる事務を行うために必要な調査及び研究に関すること。
九 人種差別の撤廃に取り組む民間団体との協力に関すること。
十 前各号の事務に係る国際協力に関すること。
十一 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づきセンターに属させられた事務

(センターの独立性)
第30条 センターの委員長及び委員は、独立してその職権を行う。
2 センターには十分な予算が確保され、その編成及び執行において独立性が損なわれないよう留意されなければならない。

(組織等)
第31条 中央センターは、委員長及び委員8名をもって組織する。
2 地方センターの委員の数は、地方の規模に応じてセンター規則で定める。
3 中央センターの委員長及び委員は、人格が高潔で人種差別撤廃政策について識見の高い者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
4 委員長及び委員には、人種差別についての専門的な知識経験を有する弁護士、人種差別について研究する国際人権法学者その他の研究者、人種差別について継続して報道してきた報道関係者を含むものとする。
5 中央センターの委員長及び委員には、人種等に係るマイノリティ3名以上が含まれるものとする。委員長及び委員に、性的指向若しくは性自認又は障害に係るマイノリティが含まれるよう努めるものとする。
6 委員長及び委員には、日本国籍を有しない者も任命されることができる。
7 中央センターの委員長及び委員のうち男性又は女性の一方が4人未満であってはならない。
8 中央センターの委員のうち、非常勤は3人以下とする。

(任期等)
第32条 委員長及び委員の任期は、5年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする。
2  委員長及び委員は、再任されることができる。
3  委員長及び委員の任期が満了したときは、当該委員長及び委員は、後任者 が任命されるまで引き続きその職務を行うものとする。
4 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前条第3項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。
5 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。この場合において、両議院の事後の承認が得られないときは、内閣総理大臣は、直ちに、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

(身分保障)
第33条 委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
一 破産手続開始の決定を受けたとき。
二 この法律の規定に違反して刑に処せられたとき。
三 拘禁刑以上の刑に処せられたとき。
四 センターにより、心身の故障のため職務を執行することができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。

(罷免)
第34条 内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。

(委員長)
第35条 委員長は、センターの会務を総理し、センターを代表する。
2 センターは、あらかじめ常勤の委員のうちから、委員長に事故がある場合に委員長を代理する者を定めておかなければならない。

(会議)
第36条 センターの委員会の会議は、委員長が招集する。
2  センターは、委員長及び半数以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 センターの議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 第33条第4号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。
5 委員長に事故がある場合の第2項の規定の適用については、前条第2項に規定する委員長を代理する者は、委員長とみなす。

(専門委員)
第37条 センターに、専門の事項を調査させるため、専門委員を置くことができる。
2  専門委員は、センターの申出に基づいて内閣総理大臣が任命する。
3  専門委員は、当該専門の事項に関する調査が終了したときは、解任されるものとする。
4 専門委員には、日本国籍を有しない者も任命されることができる。

(事務局)
第38条 センターの事務を処理させるため、センターに事務局を置く。
2 事務局に、事務局長その他の職員を置く。
3 事務局長は、委員長の命を受けて、局務を掌理する。
4 事務局の職員は、人種差別の撤廃に関する専門的な知識経験を有する者のうちから任命する。事務局の職員のうち3分の1以上は弁護士とする。
5 事務局の職員には、日本国籍を有しない者も任命されることができる。

(政治運動等の禁止)
第39条 委員長及び委員は、在任中、政党その他の政治団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。
2 委員長及び常勤の委員は、在任中、内閣総理大臣の許可のある場合を除くほか、報酬を得て他の職務に従事し、又は営利事業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行ってはならない。

(秘密保持義務)
第40条 委員長、委員、専門委員及び事務局の職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らし、又は盗用してはならない。その職務を退いた後も、同様とする。

(給与)
第41条 委員長及び委員の給与は、別に法律で定める。

(規則の制定)
第42条 センターは、その所掌事務について、法律若しくは政令を実施するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、センター規則(以下「規則」という。)を制定することができる。

第2節 差別的行為の撤廃に関する措置
(差別的行為調査手続の開始)
第43条 センターは、差別的行為により害を被った者若しくはその法定代理人若しくは被害者が死亡した場合若しくはその心身に重大な故障がある場合であって、被害者の明示した意思に反しないときには、被害者のパートナー、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により又は職権で、調査手続(以下本条の調査手続を「差別的行為調査手続」という。)を開始するものとする。
2 前項の規定にかかわらず、差別的行為のうち、第4条第3号、第4号ロ又は第5号にあたるものについては、当該差別的行為の対象となった人種等に係るマイノリティに該当する者及び当該人種等に関する共通の属性を有する者により構成される団体が請求することができる。

(センターによる調査)
第44条 センターは、必要と認めるときは、差別的行為調査手続において事実の調査をすることができる。
2 センター、国若しくは関係する地方公共団体又は前条の規定による請求をした者(以下この節において「請求者」という。)に対し、意見の陳述及び資料の提出を求めることができる。
    3 センターは、適当と認める者から事情を聴取することができる。
4 センターは、差別的行為をした疑いがある者に対し、相当の期間を定めて、書面 により意見を述べ、及び資料を提出する機会を与えなければならない。ただし、差別的行為をした疑いがある者の所在が判明しないときは、この限りではない。
   5 センターは、差別的行為をした疑いがある者から請求があった場合であって、必   要があると認めるときは、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。
6 差別的行為をした疑いがある者は、前項により意見を述べるときには、センターの許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。補佐人は、弁護士のうちから選任するものとする。
7 センターは、必要があると認めるときは、その指名する委員に次に掲げる事項を行わせることができる。
一 第3項の規定による事情の聴取
二 第5項の規定による意見の聴取
8 差別的行為調査手続は、公開しない。ただし、センターが許可した場合を除く。
9 センターは、インターネットを通じて差別的行為が行われたと認めた場合において、当該差別的行為の行為者が不明であるときは、インターネット事業者に対し、当該差別的行為に係る発信者情報その他個人識別のための情報の開示を求めることができる。
10 センターは、差別的行為調査手続を開始後、原則として1年以内に差別的行為調査手続を終了しなければならない。

(差別的行為に対する是正措置)
第45条 センターは、差別的行為調査手続により、差別的行為が行われたと認めた場合は(以下認められた行為を、本条及び次条において「当該差別的行為」という。)、事案の内容に即して、指導、勧告その他当該差別的行為を是正するために必要な措置を講ずることができる。
2 センターは、前項の措置について、当該差別的行為の概要、当該差別的行為 が差別的行為に該当する旨及びその理由、該当する第4条各号の条項並びに措置の内容及びそれが相当である理由を公表しなければならない。
3 センターは、第1項の措置について、当該差別的行為の悪質性の程度、行為後の情況、社会的影響の軽重などにより公表することが相当であると認めるときには、当該差別的行為を行った者の氏名又は名称を公表することができる。ただし、公表の期間は、相当な期間であることを要する。
4 センターは、第1項の規定による措置を講ずるときは、当該差別的行為を行った者に対し、書面により、措置の内容及びその理由並びに第2項及び前項の規定による公表をする旨を通知しなければならない。ただし、当該差別的行為を行った者の所在が判明しないときは、この限りではない。
5 前項本文の通知は、当該差別的行為を行った者の住所(当該差別的行為を 行った者が別に通知を受ける場所又は連絡先をセンターに通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
6 前項の通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
7 センターは、請求者に対し、書面により、第1項の規定による措置を講じたとき はその旨、その内容及びその理由並びに第2項の規定による公表をした旨を、第1項の規定による措置を講じなかったときはその旨及びその理由を、第3項の規定による公表をしたときはその旨を、それぞれ通知しなければならない。

(差別的行為に対する警告)
第46条 センターは、差別的行為調査手続により、当該差別的行為が行われたと認めた場合であって、当該差別的行為をした者がさらに差別的行為をするおそれがあるときは、当該差別的行為をした者に対し、その者が行うおそれがある差別的行為をしてはならない旨を警告する(以下単に「警告」という。)ことができる。
2 センターは、警告について、当該差別的行為の概要、当該差別的行為が差別 的行為に該当する旨及びその理由、該当する第4条各号の条項並びにしてはならない差別的行為(以下「警告対象行為」という。)及び該当する第4条各号の条項その他の警告の内容及びそれが相当である理由を公表しなければならない。
3 センターは、警告について、警告を受ける者(以下「警告対象者」という。)の氏名又は名称を公表しなければならない。ただし、公表することが相当でない場合は、この限りでない。また、公表の期間は、相当の期間であることを要する。
4 センターは、警告をするときは、警告対象者に対し、書面により、警告の内容及びそれが相当である理由並びに第2項及び前項の規定による公表をする旨を通知しなければならない。ただし、警告対象者の所在が判明しないときは、この限りではない。
5 前項本文の通知は、警告対象者の住所(警告対象者が別に通知を受ける場所又は連絡先をセンターに通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
6 第4項本文の通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
7 センターは、請求者に対し、書面により、第1項の規定による警告をしたときは警告の内容及びそれが相当である理由並びに第2項の規定による公表をした旨を、第1項の規定による警告をしなかったときはその旨及びその理由を、第3項の規定による公表をしたときはその旨を、それぞれ通知しなければならない。

(差別的行為に対する命令)
第47条 センターは、警告対象者が、警告を受けたにもかかわらず、警告対象行為を行い、かつ、さらに警告対象行為をするおそれがあるときは、警告対象者に対し、次に掲げる事項の全部又は一部を命ずること(以下本条において「命令」という。)ができる。
一 警告対象行為をしてはならないこと(以下命令に係る警告対象行為を「命令対象行為」という。)
二 命令対象行為が行われることを防止するために必要であるとセンターが認める事項を履行すること
2 センターは、命令について、命令を受ける者(以下「命令対象者」という。)が警告に反して行った警告対象行為の概要、命令対象者が警告に反して行った警告対象行為が差別的行為に該当する旨及びその理由、該当する第4条各号の条項及び命令の内容及びそれが相当である理由並びに命令対象者の氏名又は名称及び規則で定める事項があるときは当該事項を公表しなければならない。ただし、公表の期間は、相当な期間であることを要する。
3 センターは、命令をするときは、命令対象者に対し、書面により、命令の内容及びその理由並びに前項の規定による公表をする旨を通知しなければならない。ただし、命令対象者の所在が判明しないときは、この限りではない。
4 前項本文の通知は、命令対象者の住所(命令対象者が別に通知を受ける場 所又は連絡先をセンターに通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。
5 第3項本文の通知は、その通知が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
6 センターは、請求者に対し、書面により、命令をしたときはその旨、その内容及びその理由並びに第3項の規定による公表をした旨を、命令をしなかったときはその旨及びその理由を、それぞれ通知しなければならない。
7 命令の効力は、10年間とする。
8 本条に規定するもののほか、命令の実施に関し必要な事項は、規則で定める。
第4章   雑則
(命令への委任)
第48条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、命令で定める。

(秘密保持義務違反の罪)
第49条 第40条の規定に違反して秘密を漏らし、又は盗用した者は、2年以下の
拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。

(命令違反の罪)
第50条 第47条第1項の規定による命令に違反した者は、3年以下の拘禁刑又は
100万円以下の罰金に処する。

(両罰規定)
第51条 法人(法人でない団体で代表者ないし管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務に関し、前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても同条の刑を科する。

附 則 
(施行期日)
第1条 この法律は、公布の日から起算して〇月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(2016(平成28)年法律第68号)の廃止)
第2条 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(2016(平成28)年法律第68号)は、廃止する。

(政令への委任)
第3条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

(検討)
第4条 政府は、この法律の施行後3年以内にこの法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。