2018年4月14日に開かれた外国人人権法連絡会2018年総会記念シンポジウムで、以下のアピール文が朗読され、参加者一同で確認しました。


外国人人権法連絡会2018年総会記念シンポジウム アピール文

2016年6月にヘイトスピーチ解消法が施行された。同年暮れには、政府による外国人の人権状況に関する調査が実施され、深刻な入居差別や就職差別の実態の一端が明らかとなった。いずれも、日本においては初めて実現したものであり、人種差別撤廃条約が求める締約国の責務を履行するためのささやかな第一歩といえる

しかし、ヘイトデモ・街宣活動は今も全国各地で横行している。公人の差別発言も後を絶たない。2018年2月には、朝鮮総聯中央本部の銃撃という、衝撃的な手段によるヘイトクライムが発生したが、政府はこれを非難する意思を何ら表明しなかった。

いま求められているのは、ヘイトスピーチ解消法の実効化のみならず、人種差別を明確に禁止し、被害者が法的救済を受けることを可能にするとともに、国及び地方自治体が差別を解消するための実効性ある施策を講じるための根拠法となる、人種差別撤廃基本法の制定である。それは、これまで繰り返し人種差別撤廃委員会より勧告されてきたとおり、人種差別撤廃条約の締約国である日本の義務である。

政府はいまだ、立法に消極的な姿勢を変えていない。2017年にも、政府は、日本の人権状況に対する普遍的・定期的審査(UPR)のために国連人権理事会に提出した報告書において、憲法や各種法令により差別を禁止しているなどと従来の立場を繰り返した。2018年3月に採択されたUPRの結果文書では、多数の国から、人種差別を含む差別を禁止する包括的な差別禁止法の制定が勧告されたが、政府は受け入れなかった。本日の講演でも、日本の差別撤廃政策が国際人権水準からかけ離れていることが改めて明らかになった。

この8月に行われる人種差別撤廃委員会による日本審査においても、条約上の義務を履行しているかという観点から、厳しく日本政府の姿勢が問われることになるだろう。

私たちは、マイノリティの権利と尊厳が守られる社会の実現に向けて、次の一歩を進めるため、日本政府と国会に対し、ヘイトスピーチ解消法の実効化及び人種差別撤廃基本法を速やかに制定することを改めて強く求める。

また、これを実現させるために、マイノリティおよび平等を求めるすべての人々と連帯し、市民社会に働きかけ、力強く取り組んでいくことをここに決意する。

2018年4月14日
外国人人権法連絡会2018年総会 記念シンポジウム
「人種差別撤廃基本法を日本で実現させるために」参加者一同

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