2026年3月4日、茨城県における「不法就労者」通報制度の創設を公表に対して、当会をはじめ11団体と共に共同声明を発出しました。
ご一読ください。
茨城県「不法就労者」通報制度の創設に対する反対声明
私たちは、外国⼈、⺠族的マイノリティ等の⼈権問題に取り組む団体です。
2026年1月18日、茨城県の大井川和彦知事は、「不法就労が全国でもトップクラスに多いという問題」を解決するために、通報報奨金制度を創設することを明らかにしました。
私たちは、当該制度の創設に強く反対します。
「働く」という行為は、個人にとっても社会にとっても、とても大切なことです。ある労働が「不法就労」とみなされるのは、入管法上、当該労働を行うことを認められていない外国人が行った場合のみで、その判断には、在留カード等の確認が必要です。第三者が外形的にそれを見分けることは不可能であり、それゆえ、通報は推測、より端的に言えば、偏見に基づいて行われることになります。にもかかわらず、通報に対して報奨金を支払うということは、県が「密告」を奨励していることを意味します。
茨城県が創設しようとしている通報報奨金制度は、人びとが互いを疑いの目で眼差す、相互監視制度に他なりません。いたずらに人びとの間に不信感を植え付け、外国籍者など外国につながる人びとを不安に陥れる愚行です。さらに、2026年度の県予算案によると、「不法就労情報提供員制度」を創設して、業界団体や市町村等を動員し情報収集体制を強化するともあります。
通報に対して県職員が調査し、「不法就労」が確認できた場合にのみ警察に通報するとのことですが、自治体職員にそのような調査権はありません。住民サービスの提供者である県職員を、県民を疑うような業務に従事させることは、県民との信頼関係をも壊すものです。
今回、茨城県は、「茨城県不法就労活動の防止に関する条例」(仮称)という新たな条例を制定してまで、県職員の調査に「根拠」を与えようとしようとしています。しかし、条例とは本来、法律では対応できない地域の課題や住民ニーズに対応するために制定されるべきものです。また、地方自治は、国家の意思にむやみに従属するのではなく、すべての住民の人権を守ることに第一の価値をおくことが求められています。
「不法就労」を防ぐために県がなすべきは、人びとの猜疑心や分断をあおるような条例をつくることではないはずです。正規の就労資格をもたずに働かざるをえない外国人、正規の就労資格をもたない外国人を雇用せざるをえない雇用主、それぞれの状況を理解し、正規で就労し、雇用できる環境をつくることではないでしょうか。もちろん、入管政策や産業政策など、県だけで問題を解決できないことも多いと推察します。だとしたら、現場の声を国に訴え、「不法就労」を解消する取組みを国に求めることこそ、県の責務ではないでしょうか。
報道によれば、正規の資格をもたずに働く外国人の7割が農業に従事していたとのことです。一方で、茨城県は全国3位の産出額をもつ「農業大国」です。農業は茨城県にとって重要な産業であるばかりでなく、日本社会の食を支える必要不可欠な産業です。このような観点に照らせば、通報報奨金制度の創設は、人びとの間に分断をもたらすだけでなく、茨城県の衰退にもつながりかねないものです。
「新しい茨城県総合計画」(2026年~2029年度)では、茨城県の将来像の1つとして「多様な人財が活躍できる社会」が掲げられています。さらに、茨城県は、「外国人材から選ばれる県づくり」を進めるとして、2026年度入庁の県職員(事務職)から国籍要件を撤廃し、外国人(永住者と特別永住者)に門戸を開きました。
私たちは、「多様性」を尊重する茨城県の姿勢を支持するとともに、改めて、そのような方針に逆行する茨城県「不法就労者」通報制度の創設の撤回を強く求めます。
2026年3月4日
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
外国⼈技能実習⽣権利ネットワーク
「外国⼈・⺠族的マイノリティ⼈権基本法」と「⼈種差別撤廃法」の制定を求める連絡会(外国⼈⼈権法連絡会)
外国⼈住⺠基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)
コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク
⼈種差別撤廃 NGO ネットワーク(ERD ネット)
全国労働安全衛⽣センター連絡会議
中⼩労組政策ネットワーク
つくろい東京ファンド
反貧困ネットワーク
フォーラム平和・⼈権・環境(平和フォーラム)
clickするとダウンロードできます👉 茨城県「不法就労者」通報制度の創設に対する反対声明(PDF)


