2022年4月28日(木)法務大臣に対し「緊急のヘイトクライム対策を求める要望書」の提出と面談に関するご報告

4月28日、外国人人権法連絡会の田中宏・丹羽雅雄両共同代表、師岡康子事務局長と川崎市ふれあい館館長崔江以子さんは、公明党の大口善徳法務部会長、矢倉克夫ヘイトスピーチ問題対策PT事務局長、國重徹元同PT事務局長と同行し、古川禎久法務大臣に「緊急のヘイトクライム対策を求める要望書」を手渡しました。

提出後には約20分の面談(非公開)が行なわれ、師岡事務局長が「ヘイトクライム対策の提言」をはじめとした関連の資料を示し、対策の必要性・緊急性について説明しました。
その後、連続するヘイトクライムの被害者である崔江以子さんは、在日コリアンの虐殺を宣言する脅迫年賀状などを見せ、防刃ベストを手放せない恐怖を語り、被害者を見殺しにしないでほしいと訴えました。

公明党の各議員からも「ヘイトクライムを断固として許さない」と法務大臣が発信してほしいとの訴えがありました。

それに対し、古川法務大臣からは「人種や民族、国籍あるいは宗教などを理由にした不当な差別や偏見は断じてあってはならない」「崔さんの生の言葉をお聞きして、胸がつぶれるような、胸が張りさけるような思い」「ヘイトクライムは犯罪です。偏見や差別で犯罪なんてあるまじきこと。そういう犯罪に厳しく望むのはあたりまえのこと」「要望の内容についてはしっかり受け止めたい」といった気持ちのこもった発言がありました。

この間、政府の答弁書では「ヘイトクライムの定義について特定の見解を有していない」とあいまいな態度が示されてきました。ですが、面談における法務大臣の発言は、ヘイトクライムを差別に基づく犯罪と認識していること、その上で「あるまじきこと」と非難し、「ヘイトクライムを許さない」という姿勢を示すものでした。

私たちは、今回の法務大臣の発言を出発点に、国がヘイトクライムを根絶するとの覚悟をもって闘いの先頭に立ち、日々恐怖の下におかれ希望が見えない状態にあるヘイトクライムの被害者と共にあることを宣言、実際に実効性ある対策を緊急にとることを強く要請します。

要望書で提示したように、国が直ちにヘイトクライムと闘うことを宣言すること、政府内に担当部署を設けること、専門家・当事者等による第三者機関を設置して調査、研究、対策策定を行うこと、具体的なヘイトクライムに対し首相、法務大臣などが現場に行き公けに非難することなど、早急に取り組み可能なことがいくつもあります(詳細は下記の「要望書」を参照)。

ヘイトスピーチとヘイトクライムの連鎖により、差別と暴力が社会に蔓延している待ったなしの状況です。国によるヘイトクライム対策を実現するためには、この社会を生きる私たち一人一人が声をあげることが必要です。ヘイトクライム根絶に向けて、共に取り組むことを呼びかけます。

 

以下に「緊急のヘイトクライム対策を求める要望書」&「ヘイトクライム対策の提言」(PDF版をDL可)と崔江以子さんのコメントを掲載します。
※2022年5月15日付で「ヘイトクライム対策の提言」もアップしました。。

 


 

2022年4月28日

法務大臣 古川禎久様

緊急のヘイトクライム対策を求める要望書

外国人人権法連絡会
共同代表 田中宏・丹羽雅雄

2020年1月の川崎市ふれあい館等への在日コリアン虐殺宣言、爆破予告等の連続脅迫文書送付、2021年3月の同館館長へのコロナウイルス入りと称する脅迫物送付、同年7月から8月にかけての韓国民団愛知、名古屋韓国学校、京都府ウトロのコリアン集住地区の民家等在日コリアンに関係する施設・住居等への連続放火事件、2022年のロシア料理店に対する大量の脅迫ツイート等、ヘイトクライム~民族、国籍等ある属性を有する集団・個人に対する差別的動機に基づく犯罪~が止まりません。

日本社会に共に暮らす人々の一部が理不尽にも民族等を理由として犯罪のターゲットとなり、恐怖、孤立感と絶望の下に置かれ、沈黙を強いられ、平穏な日常生活の喪失、心身の健康破壊、経済的損失等の深刻な被害を受けています。同時に社会に差別と暴力が蔓延し、基本的人権、平和と民主主義が破壊されつつあります。

ヘイトクライムは世界共通の問題であり、アメリカでは新型コロナウイルス感染症を契機として日本人、日系人を含むアジア系の人々に対するヘイトクライムが急増しました。それに対し、大統領、議会が迅速に動き、2021年にはヘイトクライム対策の新法も制定しています。

他方、日本では、2016年にはじめての反人種差別法である「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」が制定されたものの、ヘイトクライム条項はなく、ヘイトクライム対策を行ってきませんでした。

日本は人種差別撤廃条約等により国際法上ヘイトクライム対策を行う義務があり、2018年の人種差別撤廃委員会の「総括所見」でも、ヘイトクライムを含む包括的な差別禁止法を採択するよう勧告されました。これに対し、日本政府は人種主義的動機に基づく犯罪に対し、現行法で「動機の悪質性として適切に立証しており、裁判所において量刑上考慮し裁判において適切に対処している」と説明してきました(2013年日本政府報告書等)。しかし、実際には刑事裁判で人種主義的動機が認定され重く処罰された例はないに等しい状況です。

なお、国会における近時の政府答弁には、ヘイトクライムの定義は不明確とするものがありますが、ヘイトクライムの本質が差別的動機に基づく犯罪であることは世界共通の認識です。菅義偉首相(当時)も、2021年4月16日、日米首脳会談後の共同記者会見において、全米各地でアジア系住民に対するヘイトクライムが増えていることも首脳会談では議論し、人種等を理由に差別を行うことは、いかなる社会にも許容されないということで一致したと述べています。また、同月21日、参議院本会議で、「ヘイトクライムについてお尋ねがありました。人種等によって差別が行われることは、いかなる社会にあっても許容されません」と答弁しています。まず、緊急対策に着手し、取り組む中で、速やかに明確な法的定義を定めることが適切と考えます。

前記の2021年の連続放火事件で死者がでなかったことは偶然にすぎず、このまま放置できない深刻な事態となっています。今こそ政府はヘイトクライムを重大な社会問題と認識し、ヘイトクライム対策を始めるべきときです。

以上より、速やかに下記の具体的な取組を行うよう要望します。

  1. 民族、国籍等の属性に対する差別的動機に基づく犯罪、すなわちヘイトクライムは、被害者に恐怖と苦痛をもたらし、社会に差別と暴力を蔓延させる世界共通の深刻な社会問題であり、日本でも根絶に向けた対策をとることを宣言すること。
  2. 政府内にヘイトクライム対策担当部署を設置すること。
  3. 専門的な審議会を設置し、ヘイトクライム対策に関する包括的な制度設計を行うこと。審議会のメンバーには人種差別撤廃問題等の専門家及びターゲットとなってきたマイノリティ(社会的少数者)をいれること。審議会は日本のヘイトクライム及びヘイトスピーチの実態並びにヘイトクライムに対する捜査機関及び裁判所のこれまでの対応、国際的な基準、他の国の先進事例等についての調査研究などを行うこと。
  4. 総理大臣、法務大臣等はヘイトクライムと思われる事件が起きた場合、速やかに現地を訪れ被害者から話を聞く、ヘイトクライムを許さないと公に発言する等、公の機関が積極的に具体的にヘイトクライム根絶のための行動をとること。
  5. ヘイトクライムの直接の被害者及び同じ属性をもつマイノリティに対し、ヘイトクライムからの防衛、被害に対する金銭的補助、医療等の支援をすること。
  6. ヘイトクライム加害者の再犯防止のため、差別の歴史等を学ぶ研修プログラムを作成し、受講させるよう制度化すること。
  7. 政府が国連に説明してきたように、現行法においても「人種主義的動機は、刑事裁判手続において、動機の悪質性として適切に立証し」「裁判所において量刑上考慮」することは可能であり、このような量刑上の考慮が実際に確実に行われるように、ガイドラインを作成する等体制を整備すること。
  8. 7が可能となるよう、警察官、検察官及び裁判官等の法執行官が、犯罪の背景にある人種主義的動機について認定できる適切な方法を含むヘイトクライムとヘイトスピーチに関する研修プログラムを定期的に実施すること。
  9. ヘイトクライムの捜査、公訴の提起及び判決の状況に関する調査を毎年実施し、ヘイトクライムに関する統計を作成し公表すること。
  10. インターネット上の通報窓口の設置等、ヘイトクライムの被害者及び目撃者が、容易に通報し、救済を求めることができる体制を整備すること。
  11. ヘイトクライムの防止のため、特定の民族集団に対する暴力の煽動等の重大なヘイトスピーチについては法律で禁止し、特に悪質なものについては制裁を課すよう法整備を行うこと。また、ヘイトクライムの温床となっているインターネット上のヘイトスピーチを迅速に削除できるよう法整備を行うこと。
  12. ヘイトクライムをはじめとする人種差別の根絶のために包括的な人種差別撤廃政策と法整備を行うこと。

 

下記リンクより要望書(PDF)のダウンロードが可能です。
20220428「緊急のヘイトクライム対策を求める要望書」(PDF)


 

ヘイトクライム対策の提言
(一般公開版)

古川法務大臣に提出した「ヘイトクライムの提言」も以下からダウンロード可能です。
※本文書は一般公開版として、一部修正しています。

【閲覧に関するご注意】
本提言は文書の性格上、ヘイスピーチ及びヘイトクライムの直接的な表現や画像等を使用しています。
20220515「ヘイトクライム対策の提言」(一般公開版)PDF

 


 

崔江以子さんのコメント

2016年の6月にヘイトスピーチ解消法ができた時、本当に嬉しかったです。
審議の過程で、参議院法務委員会の皆さんが、ヘイトデモの被害を受けた、川崎市桜本を現地視察にきてくださり、差別の被害を直接聴き、「決して許せない」と差別を批判し、何とかしなければと、法律を制定してくれました。

解消法ができて6年が経ちました。
まさか、法律ができた時よりも、差別によりつらい生活になるとは想像すらしていませんでした。
国がヘイトスピーチ許さないと法律で宣言してもなおネット上のヘイトスピーチはとまらず、ヘイトスピーチだけでなく、差別を動機とした犯罪、ヘイトクライムに苦しめられています。

2016年夏に私の写真にゴキブリとうじ虫が張られた、脅迫郵便が届きました。
翌年2017年には実物のゴキブリの死骸、首を切断されたゴキブリの死骸が届きました。
2020年のお正月には、虐殺予告の年賀状が届き、同月末には、私の勤める川崎市の施設に爆破予告がされました。
そして2021年3月コロナで多数の方々が亡くなり、社会全体が不安の中、朝鮮人死ねと14回記され、殺すという脅迫状とともに、コロナの菌が付着しているとされるお菓子の空袋がおくられてきました。
また、今年の2月にはTwitterで刃物の写真を投稿し、桜本で抗争したいという脅迫がありました。

毎日不安で自宅を出る際には、防刃ベストを付け、警棒、防犯ブザーを持ち歩いています。
差別を動機とする脅迫や犯罪は、エスカレートするばかりで、様々な自衛策や、警察によるパトロールを実施していただいていますが、次に何が起きるか、不安の渦の中にいます。

実際に京都宇治市の在日コリアンの集住地域や、愛知県の民族団体施設には、差別意識から火が放たれました。
次は私の住む場所だったかもしれません。次は私かもしれません。
どうか、助けてください。
差別を動機とする犯罪から守ってください。
私たちを見殺しにしないでください。

戦後日本の復興に貢献してきた在日一世の方々は、皆、高齢となり、老いの時を安寧に過ごすことを望まれていますが、次々に生じる差別犯罪に心を痛めつけられています。 在日コリアンの子どもたちに、本名を名乗ろう。そして地域社会が本名を呼ぼうと、基本的人権を尊重し、共に生きる地域実践を大切にしてきましたが、こうした差別による脅迫や犯罪があり、そして放置されている社会では、こどもたちに、本名をなのろう、自分らしく生きようと、決して言えません。「殺されないように、ルーツを隠して生きたほうがいい。」こう言わなければならない社会なのですか。

どうか、たすけてください。
見殺しにしないでください。
私たちの願いは、誰かが、私が命を落とした後に「残念」とのコメントではなく
今、既に生じている差別を動機とする犯罪に、国が許さないと宣言をし、ヘイトクライムの被害から守られることです。
助けてください。

 


 

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BuzzFeed News:「見殺しにしないで」被害者が大臣に直接、伝えたこと。相次ぐヘイトクライム、法相の返答は…?(2022.04.28
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「外国人・民族的マイノリティ人権白書」2022年版を発刊しました。

当連絡会が毎年発刊している「日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書」2022年版を発刊しました。

目次などの情報を以下のページに掲載しています。

人権白書 2022年版

 

販売部数は現時点で600部を予定しています。

ぜひ、お手元にとってご覧ください。(購入方法も、下記ページに掲載しています。)
※既に当連絡会の会員になられている方には、1冊お送りしますので、購入申し込みはしなくて大丈夫です。

4月23日(土)「2022年総会記念シンポジウム」開催のお知らせ

外国人人権法連絡会の2022年総会の開催に合わせて、記念シンポジウムを開催します。
ぜひご参加下さい。


【2022年外国人人権法連絡会 総会記念シンポジウム】
ヘイトクライムからジェノサイドへの途 ~今こそ人種差別撤廃法の制定を~

日時  :4月23日(土)15:00~17:00
開催形式:オンライン(zoon/ウェビナー)
・お申込みフォーム
https://forms.gle/WYEML7NbgYxZXKhY7
※〆切は4月21日までにお願いします。
※前日(22日)にウェビナーのURLをお送りします。
参加費 :無料
※カンパ歓迎(https://gjhr.net/donation/
主催  :外国人人権法連絡会
連絡先 :info@gjhr.net

◆プログラム◆
①基調講演
「⼈種」的憎悪から⼤量虐殺へ 〜ヘイトスピーチ規制の不可避性〜
・⾦⼦マーティンさん(日本女子大学名誉教授)
②活動報告
ヘイトクライム対策提言と人種差別撤廃法モデル案を中心に
・師岡康子事務局長
シンポジウムコーディネーター
・丹羽雅雄共同代表
 

2022年外国人人権法連絡会総会総会記念シンポジウムチラシ(PDF)

 

《趣旨》
2020年、川崎市「ふれあい館」に在日コリアンの虐殺を宣言する「年賀」ハガキが届きました。同年より新型コロナウイルスが世界中で流行すると、欧米ではアジア系を狙った差別行為が繰り返され、日本国内においても中国人への差別が続出しました。そして、2021年7月には愛知県及び奈良県の民団、8月には京都にある在日コリアンコミュニティ「ウトロ」が放火されるという事件が起きました。
今、日本社会はヘイトスピーチが日常化し、明確なヘイトクライムが続発しながら、それを止める法制がない危険な状態です。
差別の放置、それはジェノサイド(大量虐殺)という極限にまで達する恐れがあることを歴史が語っています。本シンポジウムでは、差別から「ホロコースト」に至った歴史から、なぜ包括的な差別撤廃法が必要なのかについて共に考えていきましょう。

◆講師プロフィール◆
金子マーティンさん
1949年イギリス⽣まれ。1956年初来⽇。オーストリア国籍。⽇本国在留資格:永住者。
⽇本⼥⼦⼤学名誉教授、反差別国際運動事務局次⻑。主な書籍:『神⼾・ユダヤ⼈難⺠1940-1941』(みずのわ出版、2003年)、『ロマ⺠族の起源と⾔語』(解放出版社、2021年)

※嫌がらせやネットでの中傷等を目的とした参加、または差別主義団体関係者の参加は固くお断りします。
※集会の趣旨に反するような言動および行為があった場合、主催者の判断で退席いただくことがあります。
※当日のスクリーンショット含む写真・動画撮影は、主催者以外及び許可を受けた方以外は禁止となります。

2/24(木)院内集会「今こそ国によるヘイトクライム対策の実現を求める院内集会」

今こそ国によるヘイトクライム対策の実現を求める院内集会

◆日時:2022年2月24日(木)15:00-16:30
◆会場:オンライン(Zoom)
◆プログラム
・ウトロでの放火事件の動画上映
・金秀煥さん(一般財団法人ウトロ民間基金財団理事)
・具良鈺さん(弁護士)
・外国人人権法連絡会「国に対するヘイトクライム対策の提言」

◆2月23日(水)までに以下のリンクからご登録ください。
https://forms.gle/Yi7Ynmb1uWUDuRQC6

20220224院内集会チラシPDF版

〈開催主旨〉
2021年7月、愛知の民団及び韓国学校、8月には京都の在日コリアン集住地区であるウトロの民家を燃やした連続放火事件が起きました。被疑者は「韓国人が嫌い」と述べたと報道されており、差別的動機に基づく犯罪=ヘイトクライム(差別犯罪)と思われます。コリアンというだけで生命の危険に晒されることを意味し、コリアンルーツの人々を恐怖に陥れています。死者が出なかったのは運が良かったことでしかありません。
2016年に日本ではじめての反人種差別法であるヘイトスピーチ解消法ができました。ですが、同法は禁止規定もなく、現在もヘイトスピーチは止まっていません。今回の事件に対しても、ネット上にはヘイトクライムを賛美する差別書き込みがあふれています。
そもそもヘイトクライムについて国は人種差別撤廃条約にもとづき重く処罰するなど対策をとる義務を負っており、政府は国連に対して「刑事裁判手続において、動機の悪質性として適切に立証しており、裁判所において量刑上考慮されている」と報告しています。しかし、実際には2020年の在日コリアン虐殺を宣言した川崎市ふれあい館への連続脅迫文書事件の判決でも考慮はされず、そのような裁判例は聞いたことがありません。
他方、アメリカでは日本人を含むアジア系住民に対するヘイトクライムが急増していますが、大統領がすぐに現地に訪れ、ヘイトクライムを非難し、議会はヘイトクライム対策新法を成立させました。
本集会ではウトロ放火の現場に直面した金秀煥さんから事件について、ヘイトクライムのもたらす深刻な被害について具良鈺弁護士から報告していただきます。その上で、国が国際人権法の要請に合致するヘイトクライム対策について具体的な提言を行います。差別と暴力のない社会をめざすすべての皆さんに参加をよびかけます。

◆主催 「今こそ国によるヘイトクライム対策の実現を求める院内集会」実行委員会
◆連絡先:5antiracistgroups@gmail.com
※嫌がらせやネットでの中傷等を目的とした参加、および差別主義団体関係者の参加は固くお断りします。

「ウトロの人々と連帯しヘイトクライム根絶をめざす声明」への団体賛同のお願い

京都府宇治市ウトロ地区への放火事件を受け、当会は12月21日付でウトロの人々との連帯の意思を示す声明を発表しました。

※声明は下記リンクよりご覧になれます。
ウトロの人々と連帯しヘイトクライム根絶をめざす声明

現在、本声明への賛同団体を募っております。
賛同団体については、12月26日に開催される集会「ウトロでの放火事件を許さない!――ヘイトクライムのない社会をめざす市民集会」で報告する予定です。

※集会の詳細とお申込みはこちらから
ウトロでの放火事件を許さない! ヘイトクライムのない社会をめざす市民集会
ぜひご賛同ください。
よろしくお願い致します。


〈賛同方法〉
お申し込みはこちらから
「ウトロの人々と連帯しヘイトクライム根絶をめざす声明」への団体賛同フォーム

〆切:2021年12月24日まで


 

「ウトロの人々と連帯しヘイトクライム根絶をめざす声明」賛同団体

 

賛同数:160団体
(2021年1月14日 20:00時点)

◆団体名(順不同)
樹花舎/三一書房/ノーヘイト武蔵野/NOHATE風を届け隊/東アジアの鉱山史を記録する会/茨城県議会議員 玉造順一後援会/平和と民主主義をめざす全国交歓会・滋賀/NPO法人共生フォーラムひろしま/朝鮮学校とともに・練馬の会/NPO法人 香川人権研究所/エルクラノの会/TQC 東京給水クルー/在日韓国人問題研究所(RAIK)/外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会(外キ協)/市民フォーラム・よの/枝川朝鮮学校支援都民基金/沖縄の基地を考える会・札幌/反差別相模原市民ネットワーク/平和と民主主義をともにつくる会・東京/多文化共生フォーラム奈良/人権ネットワーク・東京/部落解放同盟東京都連合会/KimoonFilm/反差別国際運動(IMADR)/幼保無償化を考える東村山の会/関西合同労働組合/在日本朝鮮人人権協会/「ハムケ・共に」/さっぽろ自由学校「遊」/札幌市に人種差別撤廃条例をつくる市民会議/アイヌ政策検討市民会議/北海道NGOネットワーク協議会/市民社会スペースNGOアクションネットワーク(NANCiS)/I女性会議/在日外国人に参政権を No Hate Yes Vote/ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク/全国在日外国人教育研究協議会/部落解放同盟京都府連合会/外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉/朝鮮学校生徒を守るリボンの会/朝鮮・韓国の女性と連帯する埼玉の会/日朝友好女性ネットワーク/部落解放同盟香川県連合会/曽根九条の会/キリスト者九条の会/「イラク判決を活かす会」/アイ女性会議・京都/沖縄のたたかいと連帯する東京南部の会/人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)/人権の21世紀をつくる文化の集い実行委員会/多摩川太鼓/「憲法」を愛する女性ネット/戦争をさせない1000人委員会・しが/関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会/一般社団法人ほうせんか/関東大震災朝鮮人虐殺の国家責任を問う会/日本軍「慰安婦」問題の解決をめざす北海道の会/世界へ未来へ 連絡会(9条連)―近畿地方連絡会/なかまユニオン/「高暮ダム強制連行の歴史を継承する会」/ききょうの会/(特活)コリアNGOセンター/神奈川ネットワーク運動・宮前/マイノリティ宣教センター/国際結婚を考える会(JAIF)/沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック/ZENKO京都/部落解放同盟国立支部/差別・排外主義に反対する連絡会/沖縄カウンターズ/長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会/全国キリスト教学校人権教育研究協議会/全国在日外国人教育研究協議会広島/日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク/<ノーモア南京>名古屋の会/河村市長「南京虐殺否定」発言を撤廃させる会/アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク/神奈川ネットワーク運動 磯子市民ネット/外国人基本法の制定を求める神奈川キリスト者連絡会(神奈川外キ連)/表現の不自由展・東京実行委員会/ストップ秘密保護法かながわ/第九条の会ヒロシマ/株式会社銀座No!Hate小店/川崎駅前読書会/日本基督教団京都教区「教会と社会」特設委員会/カトリック札幌教区正義と平和協議会/一般社団法人・自由ジャーナリストクラブ/多文化共生フォーラム奈良/神奈川ネットワーク運動・藤沢/アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)/NPO法人「猪飼野セッパラム文庫」/ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会/部落解放同盟東京都連荒川支部/日本YWCA/神奈川ネットワーク運動・大和市民会議/ふぇみん婦人民主クラブ/かながわ平和憲法を守る会/神奈川ネットワーク運動・座間市民ネット/川崎から日本軍「慰安婦」問題の解決を求める市民の会/女性参政権を活かす会/日本聖公会東京教区人権委員会/日本基督教団神奈川教区社会委員会ヤスクニ・天皇制問題小委員会/愛知県に実効性ある人権条例制定を目指す弁護士の会/日本聖公会/名古屋三菱朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会/神奈川ネットワーク運動・鎌倉/かなかわみんとうれん/在日コリアン弁護士協会(LAZAK)/沖縄の映画を観よう!かわさき/日本キリスト教会 人権委員会/日本キリスト教協議会 東アジアの和解と平和委員会/日本キリスト教協議会/神奈川ネットワーク運動・平塚/日本キリスト教協議会在日外国人の人権委員会/NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク/関東大震災中国人受難者を追悼する会/アジア女性資料センター/日本聖公会日韓協働委員会/社会科学研究会ピース・ナビ/日本基督教団部落解放センター/民族教育ネットワーク/外国人住民との共生を実現する広島キリスト者連絡協議会/NCC部落差別問題委員会/反戦老人クラブ・京都/子どもと教科書 市民・保護者の会/川崎市政に参加する会/不戦へのネットワーク/No Hate Setouchi/「表現の不自由展・その後」をつなげる愛知の会/フェアビジョン編集局/「広島市差別のない人権尊重のまちづくり条例」制定を求めるネットワーク/全国在日外国人教育研究協議会/教科書問題を考える市民ネットワーク・ひろしま/兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会/神奈川ネットワーク運動・さがみはら/広島宗教者平和協議会/一般社団法人神奈川人権センター/一般財団法人アジア・太平洋人権情報センター(ヒューライツ大阪)/「慰安婦」問題を考える市民の会・相模原/79 ‘おんな達から/子どもに教育への権利を!大阪教育研究会/日本基督教団西中国教区宣教委員会社会部/#FREEUSHIKU/リブ・イン・ピース☆9+25/在日韓国民団中央本部 人権擁護委員会/学校事務職員労働組合神奈川/ATTAC Japan(首都圏)/岡まさはる記念長崎平和資料館/「バスストップから基地ストップ」の会/「日の丸・君が代」の法制化と強制に反対する神奈川の会/全国学校事務労働組合連絡会議/のりこえねっと/日本バプテスト連盟日韓・在日連帯特別委員会/部落解放同盟坂出市連絡協議会/東九条まちづくりサポートセンターまめもやし/無償化連絡会・大阪/朝鮮学校「無償化」排除に反対する連絡会/岐阜朝鮮初中級学校の子どもたちを支援するポラムの会/民族教育の未来をともにつくるネットワーク愛知(ととりの会)/KOREAこどもキャンペーン

ウトロの人々と連帯しヘイトクライム根絶をめざす声明

2021年8月30日、京都府宇治市ウトロ地区で放火事件が起きました。
本事件は、在日コリアンに対する差別を背景としたヘイトクライムである可能性が極めて高いと言えます。
マイノリティを恐怖に陥れ、社会に差別と暴力が蔓延しつつある深刻な状況です。
住む家も歴史的な貴重な資料も破壊されたウトロの人々との連帯、そして、ヘイトクライム根絶のために共に闘うことを呼びかけます。
連帯の意思を示すため、外国人人権法連絡会は「ウトロの人々と連帯しヘイトクライム根絶をめざす声明」を発表しました。
ご一読ください。



ウトロの人々と連帯しヘイトクライム根絶をめざす声明

2021年12月21日

今年8月30日、京都府宇治市のウトロ地区で、住宅や倉庫など計7棟が焼け、12月6日、京都府警は放火の疑いで22歳男性を非現住建造物放火罪(刑法109条)で逮捕したことを発表しました。被疑者は7月、名古屋市の韓国民団愛知県本部と隣の名古屋韓国学校の排水管に火を付けて壊し、器物損壊罪(刑法261条)で10月に逮捕・起訴されています。

ウトロ地区で放火されたのは住宅地であり、死者が出る危険性もありました。来年4月には地域の歴史を伝える平和祈念館が開館する予定で、その記念館に展示するための資料などおよそ40点も焼失したとのことです。

ウトロ地区は、日本軍の戦争遂行のための京都飛行場建設工事現場に朝鮮の人々が集められたのを契機として形成された集住地区で、住民は植民地支配の歴史の生き証人です。今回の放火は、戦後も差別の下、苦難の生活を強いられてきた人々に対し、生活の基盤のみならずその苦難の歴史の証拠をも破壊し、踏みにじるもので、到底許すことはできません。

一連の犯罪のターゲットとなっているのがすべて在日コリアン関連施設であり、被疑者は「日本人の注目を集めたくて火をつけた」などと述べているとの報道を踏まえれば、「日本人」集団に向けたメッセージとしてコリアンを攻撃しており、差別に基づく犯罪すなわちヘイトクライムの可能性が極めて高いといえます。コリアンであることだけを理由として、日本に存在することそのものを否定したヘイトクライムの危険性が強く疑われます。

ヘイトクライムの本質は、歴史的、構造的に差別されてきた属性を有する人々に対する迫害であり、その被害は直接攻撃された人のみならず、その属性を有する人々を日常的な恐怖、屈辱感、絶望感に陥れます。また、社会にその属性をもつ人々を差別し攻撃して構わないとの雰囲気が醸成され、暴力や排除、さらにはジェノサイドへもつながり、民主主義社会を破壊します。その危険性故に、日本も加盟している人種差別撤廃条約は加盟国にヘイトクライムを犯罪として処罰する義務を課しています。

今回の一連の放火事件は既に全国の在日コリアンに、いつ家や施設が放火されるかもしれないとの恐怖をもたらしています。今回の事件に煽られたと思われる大阪府の韓国民団枚岡支部へハンマーが投げ込まれた事件も報道されており、極めて深刻な状況です。

まず、今回の事件について、京都府警及び京都地検に対し、差別に基づくものであるか徹底的に捜査し明らかにすること、ヘイトクライムであった場合には、その重大性に相応しく厳正に起訴及び求刑を行うことを求めます。また、内閣総理大臣、法務大臣、京都府及び宇治市の首長、議員らが直ちにウトロを訪れ、住民の被害を聞き、被害を放置しないこと、ヘイトクライムの危険性が高く決して許さないと宣言することを求めます。そのような行動が人種差別撤廃条約の定める責務にかなうものです。そして、ヘイトクライム対策を含む人種差別撤廃政策及び法整備を緊急に行うことを求めます。

私たちは、ウトロの人々を孤立させず、被害回復及び再発防止に向け、また、ヘイトクライムの根絶のため共に闘うことを全国の皆さんに呼びかけます。

※声明のPDF版はこちらからダウンロード可
ウトロの人々と連帯しヘイトクライム根絶をめざす声明

12/26(日)ウトロでの放火事件を許さない! ヘイトクライムのない社会をめざす市民集会

ウトロへの放火事件を受けて、STOPヘイトクライムを訴える集会が開催されます。
オンライン併用ですので、ぜひご参加下さい!



《ウトロでの放火事件を許さない! ヘイトクライムのない社会をめざす市民集会》

日時:2021年12月26日(日)14:00~
会場:同志社大学今出川キャンパス明徳館M21教室(オンライン併用 zoomウェビナー)
主催:京都府・京都市有効なヘイトスピーチ対策を求める会/同志社コリア研究センター/同志社大学人文科学研究所第8部門研究

【予定プログラム】
・ウトロ放火事件、映像上映
・ウトロの団体からの訴え
・求める会からヘイトクライム根絶をめざす訴え
・海外からオンライン中継、ビデオメッセージ
・集会アピール文の発信

主催団体から声明などが発表されています。
詳細はこちらをご覧ください。
2021年12月15日 ウトロ放火事件を受けた声明発表 「ヘイトクライム根絶をめざす声明文 ~ウトロ地区の放火事件を受けて」
※声明は本ページ下にも掲載

・お申込みはこちらから
「ウトロでの放火事件を許さない!ヘイトクライムのない社会をめざす市民集会」お申込みフォーム
※要申込み
〆切:12月24日(金)まで



ヘイトクライム根絶をめざす声明文 ~ウトロ地区の放火事件を受けて~

2021年12月15日

1 今年8月30日、京都府宇治市のウトロ地区で、住宅や倉庫など計7棟が焼け、地域の歴史を伝える資料が焼失しました。当初、建物の老朽化などが原因での失火と見られていましたが、12月6日、放火の疑いで容疑者が逮捕されました(非現住建造物放火罪(刑法109条))。同人は、7月、名古屋市の韓国民団(在日本大韓民国民団)愛知県本部と隣の名古屋韓国学校の排水管に火を付けて壊し、器物損壊の疑いで(刑法261条)、すでに10月に逮捕・起訴されています。

ウトロ地区では、来年2022年4月には地域の歴史を伝える平和祈念館が開館する予定です。その際に展示が計画されていた倉庫に保管されていた資料などおよそ40点が火事で焼けました。

ウトロ地区は、第二次世界大戦中に日本軍の戦争遂行のために集められた朝鮮人らが、戦後同地に住み続け、形成された在日朝鮮人集住地区です。ウトロ住民は、差別されながら幾多の困難を抱えて生き続けてきました。その意味では、ウトロ地区そのものが日本の朝鮮植民地支配と第二次世界大戦、戦後の在日朝鮮人の苦悩の歴史を今も語り続けています。ウトロでの放火は、7棟の家屋が焼失しただけでも大きな被害をもたらしましたが、それに加え戦前・戦後のウトロ地区とそこに生きてきた人々の歴史を証明するかけがえのないものを一瞬にして奪い去ったのです。

2 容疑者は、民族団体やウトロ地区など、朝鮮半島にルーツをもつ特定の民族集団を狙って、放火行為などに及んだとされます。これが事実であれば、容疑者のしたことは、ヘイトクライムに該当します。ヘイトクライムとは、皮膚の色、言語、宗教または信条、国籍または民族的または種族的出身、世系、年齢、障害、ジェンダー、性的指向・性自認等の属性を理由として、その集団又はその構成員に対して行われる犯罪です。記憶に新しいところでは、相模原市の障害者施設に入所していた人たちに対する差別動機に基づく殺傷事件(2016年)がありましたし、アメリカ合衆国での黒人に対する差別的動機に基づく警察の行為によるジョージ・フロイドさんの死亡事件等が起こり、それをきっかけにBlack Lives Matter運動が世界的に広がったことによっても、よく知られています(2020年)。しかしそれは氷山の一角でしかありません。在日朝鮮人への差別動機に基づく不当な取り扱いや犯罪はかつてからあり、その中には、司法の場で対応されなかったものも多数あります。近年では、ヘイトスピーチが蔓延し、社会問題となりました。

ヘイトクライムは、単なる個人の偶発的な犯罪ではありません。朝鮮の植民地支配に由来する朝鮮の人々への偏見、見下し、蔑みなどの差別意識とそれにもとづく不当な扱いが社会に根づき、今日にまで受け継がれてしまった一つの結果です。そうした土壌の一つの現れがヘイトスピーチ(インターネット上のものも含む)です。ヘイトスピーチは、単に「不快」な発言だというレベルの問題ではなく、さらなる物理的な暴力と社会的排除を促す土台となります。ヘイトスピーチによってさらに強まった差別意識により、朝鮮の人々に対する敵視、偏見そして憎悪を増長させ、同じ人間であることを否定して、罪の意識なく犯罪が行われてしまうにいたるのです。こうしてヘイトクライムが引きおこされるのであり、その意味において、これは社会が生み出した犯罪です。

被害を受けた側に目を向けても、ヘイトクライムは個別具体的な事件にとどまるものではありません。ヘイトクライムは、個人の法益を侵害・危険にさらすだけではなく、日本で生活する朝鮮人の生存権の否定、つまり対等な人間として生きる権利を否定します。ヘイトクライムは、単に一個人に向けられるものではなく、被害者が属するコミュニティや集団を狙って行われるものです。そのため、被害者が属するコミュニティに属する人たちは、誰もが被害者になり得ます。つまりヘイトクライムは、朝鮮の人々に対して、この社会では排除されるべき対象であるというメッセージを送るものです。したがってヘイトクライムは、朝鮮の人々とそのコミュニティにとっては、直接の攻撃を受けずとも、それ自体が脅迫的行為となります。ヘイトクライムを許容する社会では、特定の属性を持つ人びとが、人格権・生存権を否定されながら生き続けざるを得ない状況に置かれることになります。ヘイトクライムが一度かぎりのものであっても、それがもたらすダメージは、それほどに広く深いものです。

しかも、ヘイトクライムは、特定の属性をもつ人々を集団的に排除することを求めることから、私たちの社会の民主主義を切り崩すことにもなります。ヘイトクライムは、民主主義社会における根本基盤である対等で平等に生きることを否定するのです。それゆえ、ヘイトクライムは、個人にとってだけでなく、社会にとって危険な犯罪でもあります。

3 国連の自由権規約20条2項、人種差別撤廃条約4条は、条約締約国に対して人種差別動機に基づく犯罪への対応を求めています。また、人種差別撤廃委員会「市民でない者に対する差別に関する一般的勧告30」(2004年8月5日第65会期採択A/59/18 pp.93-97)では、条約締約国に対して「人種的動機または目的をもって犯罪をおこなったことが、より厳格な刑罰を求める刑の加重事由となるとする規定を刑事法の中に導入すること」(22項)を勧告しています。しかし、日本政府と立法機関は、これらに十分対応してきませんでした。そのため、刑事司法の場において、差別動機が解明の対象になってこなかったのです。そのため差別的動機や背景が明らかにならず、あったことがなかったことにされ、真実が矮小化されてしまうのです。

ヘイトスピーチを犯罪化するに際しては、しばしば対立利益としての表現の自由が問題になり、日本が人種差別撤廃条約4条a・b項を留保して批准したことが引き合いに出されます。しかし、ヘイトクライムに対して厳しい態度で臨むことは、表現の自由との対立がありませんから、先述の留保も問題になりません。表現の自由を重視してヘイトスピーチ規制に慎重であるアメリカ合衆国においても、ヘイトクライムの加重処罰は立法されており、頻繁に適用されています。ヘイトクライム対策に対して及び腰になる必要はありません。

日本ではようやく2016年にヘイトスピーチ解消法が制定されました。これを機に警察庁が出した通達「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消法に向けた取組の推進に関する法律の施行について」(2016年6月3日)において、「いわゆるヘイトスピーチといわれる言動やこれに伴う活動について違法行為を認知した際には厳正に対処するなどにより、不当な差別的言動の解消に向けた取組に寄与されたい」と示しています。本通達の趣旨は、ヘイトスピーチによって扇動された人々による犯罪(ヘイトクライム)への対処も含むことは多言を必要としません。人種差別事件があっても何もしないという態度は、人種差別に加担しているのと同じです。同様に、国家が人種差別的動機をもつ犯罪について何ら手当をしないということは、国家が人種差別的動機を許容しているのと同じです。

私たちは、このウトロ地区の放火事件を深刻に受け止め、ヘイトクライムを根絶するために、以下のことを司法行政機関に求めます。

1 人種差別撤廃条約等、日本国が加入している人種差別撤廃のための国際諸条約について、国内法上の実効化を求めます。

2 差別的動機が疑われる事件に際して、差別的動機を周到に解明するとともに、ヘイトクライムの危険性に即した起訴並び求刑をおこなうことを求めます。

これには、警察ならび検察が差別的動機を適切に解明すること、これを刑事裁判の場で明らかにすること、差別的動機を違法性及び責任判断(量刑判断)において考慮すること、刑事司法が差別解消に積極的に協力することを含みます。

3 インターネット上の差別扇動などの違法情報に対し、積極的に対応することを求めます。

これには、差別扇動を直接おこなっているサイトへの対応だけでなく、差別扇動サイトを支える広告企業などへの対応、さらには個別のSNSへの対応を含みます。

4 差別の防止・予防のために、行政諸機関間におけるネットワーク形成を求めます。

以 上


(参考) 合同発表声明

ウトロ地区での放火容疑者逮捕を受けて

2021年12月15日

一般財団法人ウトロ民間基金財団

8月30日にウトロ地区で倉庫、民家など7棟が被害を受ける火災が起こりました。当初は建物の老朽化による失火と見られていましたが、12月6日に京都府警は放火の疑いで奈良県在住の22歳男性を逮捕したことを発表しました。同容疑者は名古屋市内にある在日本大韓民国民団愛知県本部と隣接する名古屋韓国学校の排水管にも放火した容疑で10月に逮捕・起訴されています。

今回の事件はウトロの住宅が立ち並ぶ地区での放火で、住民の生命と財産を脅かす重大犯罪であり、決して許されるものではありません。また一連の事件がすべて在日コリアンの関連施設であることからも特定の民族に対する憎悪にもとづくヘイトクライムである可能性が高いと思われます。もしそうであれば、地区住民のみならず在日コリアンたちの平穏な生活を破壊し不安に貶める極めて深刻な問題であると言わざるをえません。

二度とこのような事件が起こらないように警察には犯行動機を含む事件の全容解明のための徹底した捜査を求めるとともに、日本政府・自治体がヘイトクライムを許さないという姿勢を明確にしていただきたいと思います。

朝鮮半島が日本の植民地となっていた時代、ウトロには飛行場建設が計画され、多くの朝鮮人が建設労働者として集められました。戦後、ウトロの土地が地上げ会社に転売れたことにより、一方的に立ち退きを迫られることになった住民は厳しい差別と困難に向き合いながらも生活と権利を守るために自ら立ち上がり声をあげました。

その声が日本市民、韓国市民に伝わって支援の輪が広がり、ウトロの土地を買い取り、そこに日本の行政が住環境整備のための集合住宅建設を進め、ウトロの新しいまちづくりが進められました。

こうしたウトロの歴史を伝える住民たちの思いが込められた立て看板など、貴重な資料が今回の放火で焼失することとなりました。建物の被害のみならず、ウトロ住民の伝えるべき記憶と記録が失われてしまうという取り返しのつかない被害が生じています。

2022年4月、ウトロには「ウトロ平和祈念館」が開館します。ウトロは、困難に直面しながら声を上げた住民たちと、ウトロと向き合ってきた日本市民、在日コリアン、そして韓国市民が協力して権利と暮らしを守った歴史をもつところです。この歴史は日本と朝鮮半島が互いに理解を深めあい、力を合わせることで新しい社会を築いていけることを示してくれています。互いが出会い、学びあうことで憎悪の連鎖を断ち切り、共に生きていく関係を築いていく、それこそが「ウトロ平和祈念館」の意義だと言えるでしょう。今回の放火事件のような差別と憎悪が向けられることのない社会のためにも「ウトロ平和祈念館」をぜひ多くの方々に活用していただきたいと思います。

憎しみの連鎖を断ち切るためには「差別」に対して厳しい姿勢で臨むと同時に、互いに出会い、学びあうことが不可欠です。そうした観点で日本の司法、行政には今回の放火事件に厳正な姿勢で対応することを求めるとともに、市民の皆様の「ウトロ平和祈念館」への関心とご支援を寄せてくださることをお願いする次第です。

以 上

入管被収容者の死亡事件の政府調査報告書に対する抗議声明

3月に名古屋入管で起きたウィシュマ・サンダマリさんの死亡事件について、出入国在留管理庁は8月10日、調査報告書を発表しました。
それに対して、当連絡会、恣意的拘禁ネットワーク(NAAD)、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、ヒューマンライツ・ナウ(HRN)の4団体で緊急記者会見を、2021年8月17日(火)14時より、参院議員会館で開きました。
その際に当会と、NAAD、HRNの3団体で共同の抗議声明を発表しました。

 


入管被収容者の死亡事件の政府調査報告書に対する抗議声明
~そもそもウィシュマ氏の収容は「法」に則っていたのか~

2021年8月17日

恣意的拘禁ネットワーク(NAAD)
認定NPO法人ヒューマンライツ・ナウ
外国人人権法連絡会

第1 問題の所在(特に憲法及び国際人権法違反)

1 2021年8月10日、出入国在留管理庁は、同年3月6日に名古屋出入国在留管理局の収容施設に収容されていたスリランカ国籍の女性ウィシュマ・サンダマリ氏(以下、「ウィシュマ氏」)が死亡した事件(以下、「本件死亡事件」)について、調査報告書(以下、「本件調査報告書」)を公表した[1]

本件調査報告書において、出入国在留管理庁は、改善策として、「全職員の意識改革」「被収容者の健康状態に関する情報を的確に把握・共有し、医療的対応を行うための組織体制の改革」「医療体制の強化」「被収容者の健康状態を踏まえた仮放免判断の適正化」「その他の改善策(情報提供窓口の設置等)」をあげている。

2 しかし、上記改善策が示すとおり、本件調査報告書は、退去強制令書が発付された者に対する原則収容主義を前提として、その中で健康状態悪化時の対応がどうあるべきであったかが検討の中心となっている(94頁)。しかし、そもそもウィシュマ氏の収容が、日本が従うべき「法」である憲法及び国際人権法[2]に則ったものかどうか、収容における強大な入管の裁量のあり方の検討は、全く抜け落ちている。したがって、本件調査報告書は、表面的かつ限定的な改善策の列挙に留まっていると言わざるを得ず、本件死亡事件の原因究明・再発防止の検討として全く不十分である[3]。また、本件調査報告書において、ウィシュマ氏の人間としての尊厳を傷付ける取扱いが多数認められ、被収容者に対する処遇の改善も不可欠であるにもかかわらず[4]、この点についての検討も不十分である。

先の入管法改正議論において、最大の焦点の一つとされた本件死亡事件について、このような不十分な検討しか行われず、問題の所在を入管収容施設の職員の意識、情報共有や医療体制などの処遇面に矮小化していることは、誠に遺憾であり、強く抗議する。

真の原因究明・再発防止のためには、処遇のあり方等に加えて、その前提となる収容のあり方、入管の強大な裁量判断の是非が問われなければならない。本声明では以下、特に収容に関する憲法及び国際人権法違反の点を詳述し、ウィシュマ氏の死亡は、人間を人間として扱わない、憲法及び国際人権法に反する恣意的な収容がもたらした結果であることを明らかにする。

第2 本報告書に基づく事実経過[5]

 2020年8月19日、ウィシュマ氏は静岡県内の交番に自ら出頭し、オーバーステイにより現行犯逮捕された。そして同年8月21日、オーバーステイによる退去強制令書の執行を受け、死亡した2021年3月6日までの197日間、名古屋入管収容施設に収容された。

2 ウィシュマ氏に対する収容は、2020年8月21日以降死亡に至るまで、一度も司法審査を経ていない。ウィシュマ氏は、違反調査時に「恋人に家を追い出された」と説明し、遅くとも退去強制令書の執行時点で明確にDV被害を訴え、さらに2021年1月4日の1回目の仮放免申請時点においては仮放免後の住居や身元保証人も確保されていた。そして、入管内部で仮放免不許可と判断とされた同年2月15日時点において既にウィシュマ氏は、車椅子を使用し歩行困難な状態となっていた上、食事量が著しく減少し、嘔吐を繰り返すといった症状が出ており、健康状態が著しく悪化していた。

3 しかしながら、同年2月16日に仮放免不許可処分がなされたため、ウィシュマ氏は同年2月22日に2回目の仮放免申請を行ったものの、2回目の仮放免申請が検討されている間にウィシュマ氏は死亡した。なお、2回目の仮放免申請時点において、ウィシュマ氏は体重が収容時から20kg近く減少し、食事摂取や水分補給もままならず嘔吐が続く状態であり、外部病院での点滴治療を求めていた。

第3 ウィシュマ氏の収容が「法」に則ったものといえないこと、本件調査報告書はその点につき検討をしていないこと

1 身体の自由は、その者が日本国籍を有しているか否か、在留資格を有しているか否かにかかわらず、あらゆる自由の前提となる最も重要な人権の一つであり、最大限保障されなければならない。したがって、収容は最後の手段でなければならず、合理性、必要性、比例性の要素を欠く収容は、恣意的拘禁に該当し、自由権規約9条1項に違反する[6]

他方、入管法52条5項は、退去強制令書が出されたことのみをもって無期限の収容を可能とし、合理性、必要性、比例性の要素を満たさない収容を認めるものである。また、司法審査の機会なく行われる拘禁は自由権規約9条4項に違反する恣意的拘禁となるが[7]、入管法52条5項は、収容の開始や継続にあたり司法審査の機会を提供していない。

2 ウィシュマ氏の収容についても、その開始時において、合理性、必要性、比例性の要素について検討がなされた形跡はなく、入管自身が定めた「DV事案に係る措置要領」にも反し、原則収容主義の下、漫然と収容が開始された。

また、ウィシュマ氏は、違反調査時に「恋人に家を追い出された」と説明し、遅くとも退去強制令書の執行時点で明確にDV被害を訴えて保護を求め、1回目の仮放免申請以降は、解放後の住居や身元保証人も確保され、当時の健康状態が悪化していた事実をも踏まえれば、逃亡の個別的蓋然性はなく、収容の合理性、必要性、比例性を欠くことがより一層明らかとなっていった。ところが、入管においては、法務省が憲法及び国際人権法を踏まえず独自に定めた基準にすぎない2018年2月28日付け通達(通達①)を重視して仮放免許可が適当でない類型に当たるとしたほか、「(新型コロナウイルス感染症対策としては)更に収容人員の抑制を図る必要は乏しい」という独自の現場判断を行い(86頁)、さらには「仮放免を許可すれば、ますます送還困難となる」「一度、仮放免を不許可にして立場を理解させ、強く帰国説得する必要あり」(58頁)と、ウィシュマ氏の心身に圧力をかけて帰国させようという意図をもって、仮放免を不許可とした。

一方、2回目の仮放免申請に対しては、本件調査報告書では入管が仮放免許可の方向で検討を進めていたとされているが、その理由としては、ウィシュマ氏の健康面よりも、介助に伴う職員の負担の増大が重視された形跡が認められる(60頁)。

このように本件でも、原則収容主義の下、法務省独自の仮放免基準や、収容人員を抑制する必要はないという現場判断、それどころか収容を帰国させるための圧力に用いようという意図など、「法」によらない恣意的な収容が行われたものである[8]

3 しかるに本件調査報告書は、ウィシュマ氏に対する入管の収容判断について、憲法及び国際人権法に照らした検討を一切しないまま、ウィシュマ氏が死亡するまで収容を継続した入管の判断を是認している。

日本の入管収容が国際人権条約に反することは、これまで重ねて国連機関等から指摘されてきた[9]。昨年には、2名の収容が恣意的拘禁にあたるとの意見が国連恣意的拘禁作業部会から出されたが、日本政府は、それに対しても「事実誤認である」「収容は入管法に則っている」などと述べて、改善しようとしなかった[10]。本件死亡事故は、繰り返されてきた国際社会からの指摘に真摯に耳を傾けなかった結果とも言いうる。この点何ら顧みない本件調査報告書では、同様の死亡事故の再発を防ぐことは不可能である。

第4 結語

人間を人間として扱わないかのようなウィシュマ氏の施設内の処遇は衝撃的であり、「自由を奪われたすべての者は、人道的にかつ人間の固有の尊厳を尊重して、取り扱われる」とする自由権規約10条に明確に反し、収容施設内の処遇を改革することはもちろん必要である[11]

しかし、より根本的な問題は、処遇の前提としての収容そのものが、強大な入管の裁量によって自由になされてしまうことである。本件におけるウィシュマ氏の収容は、そもそも「法」に則らない、自由権規約9条等に違反する恣意的拘禁であり、恣意的拘禁の状況下で本件死亡事件が発生したという全体像がある。また、本件死亡事件は、偶発的に生じたものではなく、一昨年の大村入管施設内におけるナイジェリア人男性の餓死を含む痛ましい被収容者の死亡事件が繰り返される中で生じたものであることが認識されなければならない。

これまでの死亡事件についても、入管は、今回と同様、決して収容の要件、入管が強大な裁量権を持つことに踏み込むことのない改善策を挙げるだけであった。本件調査報告書においては、改善策の冒頭に「全職員の意識改革」が挙げられている。しかし、退去強制事由該当者であれば自由を奪われるのは当然であるという、他の先進国ではおよそ見られない根本的に差別的な法制、及び、憲法・国際法を軽視する法務省・入管の組織としての姿勢を改めなければ、個々の職員の意識改革も不可能であろう。詐病ではないかと疑った職員の心理は、身体の解放を良しとしない、原則収容主義にこそ、その根源があり、制度的改革なくして個々の職員の意識改革はなしえない。

ウィシュマ氏の死亡事件は、入管の原則収容主義を改めると共に、収容判断に司法審査を導入するなどして、入管の強大な裁量を統制することが必須であることを明らかにした[12]。入管、ひいては国に、真に再発防止の意思があるのであれば、憲法及び国際人権法違反である、入管の強大な裁量による恣意的な収容という根本的な要因に向き合うことが不可欠である。

以上

 

[1] http://www.moj.go.jp/isa/content/001354107.pdf

[2] 憲法98条2項は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と定めている

[3] 本声明では直接問題としていないが、他の検証されるべき問題点として、そもそも本件調査は責任者以外非公表の入管職員のみで構成される調査チームによる内部調査であって、有識者は意見・指摘をするに留まること(1-2頁)、本件調査報告書がDV措置要領に基づく聴取がなされず、DVに関するB氏の聴取結果は極めて不十分である中、DV専門家不在の体制でDV被害者として扱う必要が無かったと結論づけている点や入管施設内及び外部病院医師の独立性の問題なども存在することには留意するべきである。

[4] ごく一例として、ウィシュマ氏がカフェオレを鼻から噴出した際の「鼻から牛乳や。」との発言(45頁)や死亡前日の衰弱しきった状態で「アロ…」といった声を発した際の「アロンアルファ?」との聞き返し(49頁)は、ウィシュマ氏の人間の尊厳を傷付ける取扱いである。

[5] 本声明では入管が認定した事実経過を前提とせざるを得ないが、当該事実認定の根拠や客観性は必ずしも明らかでなく(死亡時点において2回目の仮放免申請が仮放免許可方向で検討されていたとする点など)、当該事実認定の正確性については、なお検証を要する。

[6] 自由権規約第9条第1項は、「すべての者は、身体の自由及び安全についての権利を有する。何人も、恣意的に逮捕され又は抑留されない。何人も、法律で定める理由及び手続によらない限り、その自由を奪われない。」と定める。自由権規約委員会の一般意見により「抑留」には刑事拘禁のみならず、入管施設における収容も含まれる。

[7] 自由権規約第9条第4項は、「逮捕又は抑留によって自由を奪われた者は、裁判所がその抑留が合法的であるかどうかを遅滞なく決定すること及びその抑留が合法的でない場合にはその釈放を命ずることができるように、裁判所において手続をとる権利を有する。」と規定している。

[8] 「立場を理解させ、強く帰国説得する」ことを目的とし、ウィシュマ氏に対して仮放免を認めずに収容を継続したことは、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い(自由権規約7条、拷問等禁止条約16条)にも該当すると考えられよう。

[9] 自由権規約委員会 第6回日本定期報告審査にかかる総括所見(CCPR/C/JPN/CO/6)パラ19、拷問禁止委員会第 2 回定期報告についての総括所見(CAT/C/JPN/CO/2)パラ9、人種差別撤廃委員会 日本の第10回・第11回定期報告に関する総括所見(CERD/C/JPN/CO/10-11)パラ35, 36

[10] Deniz YenginとHeydar Safari Diman(日本)に関する意見58/2020(A/HRC/WGAD/2020/58)

[11] 改革に当たっては、国連被拘禁者処遇最低基準規則(マンデラルール)の遵守が求められる。

[12] 入管法改正案として仮放免以外に収容から解放する措置として「監理措置制度」の導入が含まれていたが、入管にその可否の裁量判断を任せているという点で、仮放免制度と同様に恣意的拘禁を防ぐ手段とはなりえないことは明白である。