声明文「朝鮮総聯中央本部への銃撃事件にたいして私たちは抗議の意を表明し、日本政府に厳正な対応を求めます」

報道によれば、2月23日午前4時頃、東京・千代田区にある在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)中央本部の前に、男2人が車で乗りつけ、建物に向かって拳銃の弾を数発撃ち込む事件が発生しました。犯人は右翼活動家の桂田智司容疑者と右翼関係者の川村能教容疑者であり、二人は建造物損壊容疑で逮捕され、容疑を認めているといいます。警視庁公安部によると、桂田容疑者は、「北朝鮮による相次ぐミサイル発射に堪忍袋の緒が切れた」と供述し、発砲後に中央本部に車で突入するつもりだったとのことです。

桂田容疑者は、2013年に日本最大の在日コリアン集住地域である大阪の鶴橋においてヘイトスピーチデモ・街宣を行なった団体の顧問として活動を主導し、「われわれ日本人はいかなる在日韓国、反日勢力、不逞鮮人どもの圧力に屈しない」とスピーチする(2016年12月25日の「韓国とは絶縁せよ!日本国民怒りの大行進」にて)など、南北を問わず朝鮮半島にルーツを持つ在日コリアンにたいするヘイトデモ・街宣においてヘイトスピーチを繰り返してきた人物であり、今回の事件は、在日コリアンにたいする差別意識・排外主義にもとづく「ヘイトクライム」(差別的動機に基づく犯罪)にほかなりません。

私たちは、あらゆる人びとの人権と尊厳が保障される社会を擁護し、またそうした社会を構成するメンバーとして、このようなヘイトクライムは決して許されないという抗議の意をここに表明します。

私たちは政府にたいして、以下のとおり、今回の犯罪行為に厳正に対応することを強く求めます。

1.今回の事件を非難する声明を直ちに公表すること

政府は今回の事件にたいして、在日コリアンへの差別意識・排外主義に基づくヘイトクライムとして、事件を非難する声明を公表すべきです。また、在日コリアンをはじめとするマイノリティ集団への差別意識・排外主義に基づく犯罪行為にたいしては厳格に対処していくことを、あわせて言明すべきです。

ヘイトスピーチ解消法は、ヘイトスピーチが被害者に多大な苦痛を強い、社会に深刻な亀裂を生じさせているとし(前文)、解消が喫緊の課題であることに鑑み(1条)、国は解消のための措置を講ずる責務を有すると定めています(4条1項)。今回の犯罪は、言動による攻撃よりさらに深刻な銃撃という究極の暴力による攻撃です。在日コリアンの受ける多大な恐怖、絶望感を伴う苦痛と、在日コリアンを同じ社会の構成員としてみず、殺傷してもいい対象だというメッセージのもたらす社会の亀裂の深刻さを踏まえ、同法の責務としても直ちに非難の態度を明確にすべきです。

2.今回の事件をヘイトクライム事件として捜査し、差別的動機が認められる場合には厳罰を科すこと

欧米等多数の国においては、特定のマイノリティ集団への差別的動機に基づく犯罪であるヘイトクライムにたいして、通常の犯罪よりも加重に処罰するヘイトクライム法制が整備されており、本件のような特定のマイノリティ集団への差別意識に基づくことがうかがわれる犯罪については、動機についても詳しい調査を行ない、通常の犯罪よりも厳格に処罰しています。日本においては、ヘイトクライム法が制定されていませんが、政府は国連人権監視諸機関にたいし、動機が悪質な場合には斟酌して重く処罰できる、と報告しています。本件においても、在日コリアンへの差別的動機を認定した場合には、通常の建造物損壊事件に比べて、ヘイトクライムとして刑罰を加重すべきです。

3.排外主義団体によるヘイトクライム再発の防止

日本社会には、朝鮮総聯がテロを準備しているかのような言説が流布されていますが、実際に近年連発しているのは、日本の排外主義団体あるいは排外主義思想を持つ者によるヘイトクライムです。1990年代、朝鮮学校の生徒たちにたいするヘイトクライムが続発したため、生徒たちが民族衣装の制服を着ることができなくなってしまいました。さらに2000年代にヘイトデモが行なわれるようになって以降、2009年12月から2010年3月にかけての京都朝鮮学校襲撃事件、2014年1月の神戸朝鮮高級学校襲撃事件、2015年3月の新宿の韓国文化院放火事件、2017年5月のイオ信用組合名古屋市大江支店放火事件等と頻発しています。また、今年に入ってからも、福岡県直方市にある在日本大韓民国民団の施設でのガラスが割られるなどのヘイトクライムをうかがわせる事件が発生しています。

今回の事件は、排外主義団体あるいは排外主義思想を持つ個人によって引き起こされる犯罪の危険性を端的に示すものであり、警察は、特定の民族への憎悪や排外主義的な思想を表明する個人・団体の活動の取り締まりを強化し、ヘイトクライムの発生防止に努めるべきです。

4.人種差別禁止法およびヘイトクライム法の制定

今回のヘイトクライムはヘイトスピーチを連発していた人により起こされたものであり、ヘイトスピーチを放置するとヘイトクライム、暴力へ直結することを如実に示しました。またヘイトスピーチ解消法には禁止規定、制裁規定がなく、実効性が弱いとの問題点が浮き彫りになりました。

日本には人種差別それ自体を禁じる法律はなく、人種差別は許されないという社会的認識も低く、また、日本における人種差別の実態について、教育現場で教えられることはほとんどありません。今回の事件の背景、および事件後に「在日朝鮮人による自作自演」「総聯だから仕方ない」といった反応が散見される背景には、「人種差別を禁止する」という社会規範が弱いことにも原因があります。今後のヘイトクライムの発生を防止するためにも、政府は、ヘイトスピーチ解消法を実効化し、さらに人種差別禁止法およびヘイトクライム法を速やかに制定すべきです。

また、私たちは、報道機関においても、排外主義的な思想が実際の銃撃にまで至った今回の事件が、南北を問わず多くの在日コリアンや朝鮮半島にルーツをもつ人びとを恐怖や不安に陥れていることを踏まえ、その背景を取材、報道し、ヘイトクライムを決して容認しないという立場をいっそう明確にすべきだ、と考えます。

私たちは、この社会に暮らすすべての人びとの人権と尊厳が保障され、誰もが安心して暮らせる社会の構築にこれからも力を注いでいく所存です。

2018年2月28日
外国人人権法連絡会
移住者と連帯する全国ネットワーク
人種差別撤廃NGOネットワーク
のりこえねっと
ヒューマンライツ・ナウ


※2018年3月31日に賛同を締切りました。ご賛同いただいたみなさま、ありがとうございました。

賛同者一覧(2018年4月1日10:30現在・順不同):個人412筆、団体42筆 計454筆

【個人】平井美津子 岩脇 彰 Megumi Komori 武藤一羊 佐々木玲子 小池 洋子 崔江以子 花村健一 中村一成 長谷川和男 kannari ayako 山本薫子 田中雅子 坂元ひろ子 青木有加 佐野通夫 高賛侑 阿部太郎 尾澤邦子 金 尚均 矢﨑暁子 渡辺美奈 松本浩美 金 千佳 森千香子 林明雄 西川小百合 榎本 譲 寺田 晋 橋本 至 成尚旗 旗手明 木村友祐 柴崎温子 前田朗 馬場詩織 呉山 美貴 宮下萌 郭基煥 北川かおり 金 栄 平野恵子 東城輝夫 大橋史恵 木下啓子 西千津 尾内達也 金翔賢 伊藤 朝日太郎 朴貞任 李純怜 金 福出 松田葉子 井上雅文 李漢相 樋口直人 尾池 誠司 中川慎二 李正守 菅原 眞 橋本みゆき 金秀煥 山口智也 岩柳美子 朴 錦淑 山内英子 金京美 ムン青ヒョン 橋谷 雅 遠藤正敬 岡本朝也 池田幸代 森田和樹 Kono Yuko 李鎮和 稲田朗子 池田幹子 藤永 壯 温井立央 庵逧由香 本山央子 朴美香 清田美喜 東 晃司 阿久澤麻理子 小野政美 平田なぎさ Little Hands 粥川ひろみ 稲葉奈々子 呉永鎬 福井昌子 田井英子 福島博子 森久智江 古屋哲 石田正人 田中むつみ 高橋哲哉 澤田 真美 森本孝子 長崎由美子 奥村よしみ 福嶋常光 金朋央 松谷満 小川竜弥 山岸 素子 鄭文哲 寺尾光身(てらおてるみ) 三嶋あゆみ 青木初子 安藤真起子 朴栄致 恩地いづみ 増岡広宣 平田賢一 北澤尚子 服部光太 吉田絵理子 井口博充 リ ウォルスン 増井潤一郎 山本かほり 城山大賢 田中俊 土井桂子 田中利幸 鈴木徹一 YOUNG-SHIN, SONG 奥村 弘 池永記代美 橋本 真 新船 海三郎 山中啓子 鶴田雅英 七尾寿子 木村幸雄 松下一世 竹佐古真希 金泰崇 青木茂 高谷幸 西村直登 五郎丸聖子 金子なおか Kyung Hee Ha 柏木美恵子 杉原浩司 藤本伸樹 佐藤信行 佐竹眞明 原 信雄 竹内宏一 金性済 西岡由紀夫 韓守賢 藤井純子 西岡由紀夫 師岡康子 古賀清敬 金明秀 海津正和 石川治子 KYUNG HEE HA 中村啓二 中島純 朴 陽子 大賀あや子 佐々木 祐 阿部寛 前田かおる 小林知子 下田由子 中村証二 野上幸恵 中川龍也 原めぐみ 藤本美枝 金秀一 金 成元 大島康治 申 嘉美 馬場昭 山本眞理 金昌浩 柳田由紀子 伊東 千恵 久朗津泰秀 小野寺ほさな 鄭和瑛 琴岡 康二 takagi atuko 秋葉正二 松尾和子・哲郎 加藤武士 リョギョン 冨田 杏二 李 栄 山の手緑 今田 ゆうさく 青木理恵子 申惠手 野田祥 徐栄錫 鶴岡めぐみ 富山徳之 松浦悟郎 鄭守煥 赤井吉雄 外山理佳 野々村 耀 佐々木克己 鄭康烈 栗本知子 藤井隼人 役重善洋 乾喜美子 緒方貴穂 一戸彰晃 徐阿貴 伊藤勤也 楠木裕樹 李貴絵 竹林 隆 山田彩子 佐藤正己 沢村和世 河合知義 大下 富佐江 watanabe kenji 藤井郁子 大石忠雄 金麻衣 池允学 西村由美子 伊藤明彦 ひぐちのりこ 長谷川 清 張教之 三輪力也 軽部哲雄 田代雅美 朱 文洪 申容燮 Tsukasa Yajima 佐藤正人 田中ひろみ 斉藤日出治 鈴木まり 佐々木 香澄 安部竜一郎 柴田智悦 竹森真紀 伊藤智樹 武者小路公秀 笹田参三 藤岡美恵子 奥村悦夫 田中潤一 川本良明 趙明淑 小川玲子 安炳鎬 池田宜弘 熊谷茂樹 文優子 伊藤るり NOMURA; OSAMI 金迅野 Hirano Kazumi 松坂克世 古賀滋 魯孝錬 青木信也 伊藤哲寛 田中 泉 oohashi takeshi 葛 斗英 田中進 伊藤 敦 林 哲(リム チョル) 渡辺麻里 YAJIMA Tsukasa 梶村道子 高見元博 ノリス恵美 田太植 安原邦博 河添 誠 姜孝裕 吉川哲治 高森裕司 盛田容子 石川美加 Anne Michinori Mano 井上博之 桑原康平 松本篤周 田巻紘子 小寺隆幸 森本 孝子 岡本茂樹 中谷雄二 矢野恭子 山本すみ子 いむぼんぶ 松浪孝史 鄭光珠 三木 譲 白充 長沼 宗昭 具良鈺 竹村雅夫 清水 晴好 姜文江 宮野吉史 沢井功雄 冨田 正史 田中信幸 近藤 學 外山喜久男 村田浩司 樽井直樹 今本陽子 藤守義光 西崎雅夫 増田都子 高井弘之 田口純 高秀美 田村 ゆかり 漆原 芳郎 福井文子 師岡武男 梁英子 高橋進 朴金優綺 池田恵理子 岩木俊一 yokoi yasuo 今井和江 KEN-NYE 臼井盾 冨田 弥生 雨宮 靖行 Daiyu Suzuki KAWAMURA Tomoharu リャンデリュン ソンヘヨン 梶村美紀 藤本泰成 Masashi Sugimoto 今井貴美江 横地明美 Hiroshi Fukurai Aki Kurosawa Paul Arenson Mark Ealey 愼 民子 古賀 典夫 石橋学 木村竜太 小林はるよ 倉田徹 上野さとし 宮川緑 古澤 亨 守道子 藤井智子 Hasegaw, Sumi 金みんぢぇ Michiko Inoue 趙貞淑 馬場 昭 朴在和 山内覚 依岡 桂美 有住航 佐藤 雅一 竹本 昇 清重 伸之 吉田勉 Shiki Tomimasu Frank S. Ravitch 鄭幸子 北井大輔 宇野田尚哉 丹羽 雅代 伊崎裕之 木暮 浩 齋藤 真由美 OOKUBO masaaki 中根寧生 Yasuo YOKOI 福地一義 斎藤紀代美 影浦峡 李洋秀 山口智美 LEE Sugyong 觜本郁 澤智子 本橋哲也 川上直子 申知瑛 粟井利彦 船戸輝久 藤堂かほる 和氣康子 金 明浩

【団体】(特活)コリアNGOセンター エラスムス平和研究所 神戸国際キリスト教会 C.R.A.C. Little Hands 未来のための歴史パネル展 ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会(BLAR) 外国人住民との共生を実現する広島キリスト者連絡協議会 アプロ・未来を創造する在日コリアン女性ネットワーク カチカジャ!いばらき 在日韓国人問題研究所 外国人住民基本法の制定を求める全国キリスト教連絡協議会 第九条の会ヒロシマ 公益社団法人自由人権協会(JCLU) 「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会 日本と南北朝鮮との友好を進める会 法および言語研究室(3L) 四国 労働者・民衆センター 在日大韓基督教会西南地方会社会部 日本キリスト教会 人権委員会 外国人住民との共生を実現する九州・山口キリスト者連絡協議会 すべての外国人労働者とその家族の人権を守る関西ネットワーク マイノリティ宣教センター 在日大韓基督教会関東地方会社会部 兵庫県精神障害者連絡会 差別・排外主義に反対する連絡会 NAJAT(武器輸出反対ネットワーク) 靖国・天皇制問題情報センター キリスト教事業所連帯合同労働組合 ふぇみん婦人民主クラブ ヨハンナ比較文化研究所 日本カトリック難民移住移動者委員会 日本軍「慰安婦」被害女性と共に歩む大阪・神戸・阪神連絡会 全日本建設運輸連帯労働組合 中小労組政策ネットワーク 日本キリスト教協議会(NCCJ)在日外国人の人権委員会 Peace Philosophy Centre 外国人住民基本法の制定を求める神奈川キリスト者連絡会 ベルリン 女の会 日本バプテスト連盟日韓・在日連帯特別委員会 Anti-Racism Project(ARP) 京都府・京都市に有効なヘイトスピーチ対策の推進を求める会

院内集会「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」part6 アピール文

2017年11月2日、参議院議員会館で開催した院内集会「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」part6で、以下のアピール文が朗読され、参加者一同で確認しました。


私たちは国に対し、人種差別撤廃条約に基づきヘイトスピーチをはじめとする人種差別を撤廃する政策を策定すること、その出発点として人種差別撤廃基本法をただちに制定することを求めて、これまで5回の院内集会を開いてきた。

昨年2016年4月に与党から出され、6月3日に施行された「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」(ヘイトスピーチ解消法)は、人種差別撤廃基本法ではなく、在日外国人へのヘイトスピーチに限定し、禁止規定もない不十分な内容ではあるが、それでも長年の国際人権基準に合致する反人種差別法を求める闘い抜きでは実現し得なかった成果であり、私たちはこの法律を差別撤廃のために活用し、また、次の法整備につなげることを誓った。

ヘイトスピーチ解消法施行から1年半、ヘイトデモの回数、参加者数は減少し、警察のカウンターを敵視する態度はある程度是正されるなど、一定の効果は出ている。しかし、届出不要のヘイト街宣の回数は減らず、ネット上のヘイトスピーチに対してほぼ野放し状態であり、公人によるヘイトスピーチは悪化している。

国がヘイトスピーチ解消のために、解消法に基づいてやるべきことは、個別具体的なヘイトスピーチに対し即座に首相や法務大臣が公的に批判すること、プロバイダーが自主的ルールを忠実に実施してヘイトスピーチを迅速に削除するよう合意を取り付けること、学校教育において反ヘイト教育をカリキュラムに入れること、全警察官に研修を行うことなど、多方面にわたってある。私たちは、そのような具体的な要求をもって国と交渉してきたが、まだ多くが実現していない。

もとより、解消法はヘイトスピーチのみを対象とする点で限界がある。ヘイトスピーチは差別の一角であり、入居差別、就職差別などの差別的取扱いと一体としてマイノリティを苦しめており、社会的構造的な人種差別を撤廃することがその根絶のため不可欠である。それが人種差別撤廃条約の締約国としての義務でもある。

すでに今年3月に発表された法務省の「外国人住民調査報告書」により、外国籍住民に対する深刻な人種差別の全体像が明らかになっており、差別撤廃のためにはる啓発、教育だけでは足りず、法的に禁止することが不可欠である。

さらに、ヘイトスピーチ解消法は在日外国人のみを対象としているが、アイヌ、琉球・沖縄、被差別部落など、人種差別全体に取り組むことが国際的責務である。

しかし政府は、今年人種差別撤廃委員会に提出した報告書の中で、「包括差別禁止法が必要であるとの認識には至っていない」と述べ、また、国際人権高等弁務官事務所に提出した報告書の中でヘイトスピーチへの規制強化について不必要との認識を示している。

以上から、私たちは、国および地方自治体に対し、共通の課題として、ヘイトスピーチ解消法を実効化し、さらに、国際人権法上の義務に合致した人種差別撤廃政策と法整備を速やかに整備するよう、下記のことを求める。

  1. 政府は、ヘイトスピーチ解消のための基本方針、基本計画を速やかにたて、総合的に政府全体で対策を進めること。
  2. 関係各省庁はヘイトスピーチ解消法に基づき、ヘイトスピーチ解消のため実効ある施策を直ちに実行すること。
  3. 地方自治体は、ヘイトスピーチ解消法を実効化するため、人種差別撤廃条例制定などを速やかに進めること。
  4. 国は、ヘイトスピーチを含む人種差別全体の撤廃を総合的に進めるため、直ちに人種差別撤廃基本法を制定すること。
  5. 国は、2020年のオリンピック・パラリンピックまでに、国際人権基準に合致する人種差別禁止法、個人通報制度、国内人権機関など人種差別撤廃法制度を整備すること。

2017年11月2日

「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」第6回院内集会 集会参加者一同
外国人人権法連絡会
移住者と連帯する全国ネットワーク
人種差別撤廃NGOネットワーク
のりこえねっと
ヒューマンライツ・ナウ

11/2(木) 院内集会「今こそ人種差別撤廃基本法の実現を」Part.6

ヘイトスピーチ解消法成立から1年半。「ヘイトスピーチは許されない」、「マイノリティ差別のない日本に」という考えが、日本社会でも広く共有されつつあります。しかし一方で、排外主義的な言動は公的場面やネット空間で続いています。ヘイトスピーチ解消法をより実効性あるものにし、人種差別撤廃基本法を成立させる必要性が明らかになっています。

今回の院内集会では、これまで各専門の立場で人種差別問題について発信してきたスピーカーの問題提起から、今後の方向を探ります。

多くの皆さまの参加をお待ちし、ともに次の一歩を進めたいと思います。

●日時:2017年11月2日(木) 15:00~16:30
※14:30から会館1Fロビーで通行証を配布します。事前申込み不要。

●場所:参議院議員会館B107(東京都千代田区永田町2-1-1)
-地下鉄 有楽町線・半蔵門線・南北線「永田町駅」1番出口よりすぐ
-地下鉄 丸ノ内線・千代田線「国会議事堂前駅」1番出口より徒歩5分

●報告:

  1. 「法務省の外国人住民調査に見る差別」鈴木江理子さん(国士館大学教員)
  2. 「インターネット上におけるヘイトスピーチの状況」韓東賢さん(日本映画大学教員)
  3. 「ヘイトスピーチ解消法の実効化を検証する」師岡康子さん(弁護士)

●主催:外国人人権法連絡会移住者と連帯する全国ネットワーク人種差別撤廃NGOネットワークのりこえねっとヒューマンライツナウ

●お問い合わせ先:外国人人権法連絡会(RAIK内)   raik@kccj.jp 03-3203-7575

チラシ(下記画像)ダウンロード(PDF、677KB)
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ヘイトスピーチ解消法施行1年集会アピール

2017年6月3日に開催した集会「ヘイトスピーチ解消法施行1年 ~その現状と課題、人種差別撤廃基本法の実現へ」で、以下のアピール文が提起され、採択されました。


差別に苦しむマイノリティと、共に差別と闘う人々は、長年、国際人権基準に合致する人種差別撤廃法制度を求めてきた。1年前に成立・施行されたヘイトスピーチ解消法(「本邦外出身者に 対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」)は、これまで深刻な人種差別の存在自体を否定してきた国が、はじめてその被害を認め、緊急な課題として解消に取り組むことを宣言した反人種差別法であった。人種差別の中の在日外国人に対するヘイトスピーチに限定し、かつ、禁止事項もない理念法という大変不十分な内容ではあるが、それでも長年の闘い抜きでは実現し得なかった成果であり、私たちはこの法律を差別撤廃のために活用し、また、次の法整備につなげることを誓った。

成立から1年、ヘイトデモに対し警察がヘイトスピーチをしないようアナウンスし、川崎桜本と大阪鶴橋でデモ禁止の仮処分が出るなどした結果、ヘイトデモの回数、参加者数は減少した。警察のカウンターを敵視する態度はある程度是正された。しかし、届出不要のヘイト街宣の回数は減っていない。また、ネット上のヘイトスピーチに対しては法務省人権擁護局が被害者の申立てによりプロバイダーに何度も削除要請し、一部削除されたが、全体的には野放し状態である。
国がヘイトスピーチ解消のために、解消法に基づいてやるべきこと、できることは、選挙活動を悪用するなど悪質なヘイトスピーチがなされた場合、個別具体的なヘイトスピーチに対し即座に首相や法務大臣が公的に批判すること、プロバイダーが自主的ルールを忠実に実施してヘイトスピーチを迅速に削除するよう合意を取り付けること、学校教育において反ヘイト教育をカリキュラムに入れること、全警察官に研修を行うことなど、多方面にわたってある。私たちは、そのような具体的な要求をもって国と交渉してきたが、まだ多くが実現していない。
他方、川崎市、京都府、名古屋市などいくつもの地方自治体は、解消法成立を契機に公共施設の利用制限や条例化など実効性ある取り組みを進めている。ほかの地方自治体や国の取り組みを促す意義も大きい。しかし、日弁連の調査結果にも見られるように、大半の地方自治体はまだ様子見にとどまっている。
もとより、同法はヘイトスピーチのみを対象とする点で限界がある。今年3月に発表された法務省の「外国人住民調査報告書」でも在日外国人の4割が入居差別を経験するなど深刻な差別の実態がある。また、人種差別撤廃委員会などから何度も指摘されているように、高校無償化制度からの朝鮮学校の排除、地方自治体による補助金カットなど、国や地方自治体による公的な差別が、深刻な差別を悪化させている。

以上から、私たちは、国および地方自治体に対し、共通の課題として、ヘイトスピーチ解消法を実効化し、さらに、国際人権法上の義務に合致した人種差別撤廃政策と法整備を速やかに整備するよう、下記のことを求める。

  1. 政府は、ヘイトスピーチ解消のための速やかに基本方針、基本計画をたて、総合的に政府全体で対策を進めること。
  2. 関係各省庁はヘイトスピーチ解消法に基づき、ネット対策、個別具体的なヘイトスピーチへの公的な批判など、ヘイトスピーチ解消のため実効ある施策を直ちに実行すること。
  3. 地方自治体は、ヘイトスピーチ解消法を実効化するため、人種差別撤廃条例制定などを速やかに進めること
  4. 国は、ヘイトスピーチを含む人種差別全体の撤廃を総合的に進めるため、直ちに人種差別撤廃基本法を制定すること。
  5. 国および地方自治体は、国連人権理事会、人種差別撤廃委員会などの勧告を真摯に受け止め、公的な差別を直ちに改めること
  6. 国は、2020年のオリンピック・パラリンピックまでに、国際人権基準に合致する人種差別禁止法、個人通報制度、国内人権機関など人種差別撤廃法制度を整備すること。

2017年6月3日
「ヘイトスピーチ解消法施行1年」集会参加者一同
外国人人権法連絡会、移住者と連帯する全国ネットワーク、人種差別撤廃ネットワーク、のりこえねっと、ヒューマンライツナウ

ヘイトスピーチ解消法施行1年~その現状と課題、人種差別撤廃基本法の実現へ

◆日 時◆ 2017年 6月 3日 (土) 14:00~16:00(開場 13:30)

◆場 所◆ 在日本韓国YMCA 9階2.8記念国際ホール(東京都千代田区猿楽町2-5-5)

◆資料代◆ 500円

◆主 催◆ 外国人人権法連絡会、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)、のりこえねっと、ヒューマンライツナウ

※参加申し込みは、メールでシンポジウム当日午前中までに連絡をお願いします。 ⇒メール申込み先

 日本ではじめての反人種差別法「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」の成立から1年を迎えました。
 理念法である「ヘイトスピーチ解消法」は一定の効果をあげたものの、差別排外デモや集会、インターネット上での差別やその拡散はいまも続き、また、国による初めての調査で入居差別など生活全般にわたる深刻な人種差別の実態が明らかになりました。研究者、弁護士、差別被害の当事者などの視点から、現状と課題を明らかにします。
 人種差別撤廃基本法の実現に向け、多くのみなさまの参加をお願いいたします。

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プログラム
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①実態報告
 「ヘイトスピーチ解消法施行1年のヘイトスピーチの実態」
   明戸隆浩さん(関東学院大学・駒澤大学ほか非常勤講師)

 「日弁連による地方公共団体等アンケート調査について」
   北村聡子さん(弁護士・人種差別実態調査研究会)

 「法務省による外国籍住民調査の分析」
   金明秀さん(関西学院大学教員)

②現場からのリレートーク
  在日コリアン、ニューカマー移住者、琉球・沖縄、アイヌ、カウンター行動、など

③質疑応答

④まとめ

院内集会『ヘイトスピーチ解消法成立1年~求められる人種差別撤廃基本法』

日本ではじめての反人種差別法、いわゆる「ヘイトスピーチ解消法」の成立からもうすぐ1年を迎えます。 理念法である「ヘイトスピーチ解消法」は一定の効果をしめすものの、差別排外デモや集会、インターネット上での差別やその拡散はいまも続いています。2020年東京オリンピック・パラリンピックはもうすぐ。国連人種差別撤廃条約に加盟する日本として、国際的な人権基準に即した法整備が急務です。あらゆる人種差別の撤廃、人が人として尊ばれる社会の実現のために、多くのみなさまの出席をお願いいたします。

  • 主 催:人種差別撤廃基本法を求める議員連盟(会長:小川敏夫民進党参議院議員)
  • 場 所:参議院議員会館 講堂(最寄り駅:東京メトロ「永田町」駅)
  • 日 時:2017年 5月10日(水) 15:00~16:30
    ※14;30より議員会館1階ロビーにおいて通行証を配布します。通行証配布の前に手荷物検査がありますので、各自お受けください。
  • 発言者:
    • 有田芳生さん(参議院議員、民進党、議員連盟事務局長)
      ヘイトスピーチ解消法の実効化の現段階-議連による各省庁ヒヤリング報告を中心に
    • 北村聡子さん(弁護士、人種差別実態調査研究会)
      ヘイトスピーチ解消法の成立に よって、ヘイトスピーチは解消したのか? その実態報告
    • 鈴木江理子さん(国士館大学教員)
      法務省外国籍住民アンケート調査結果から見え るもの
    • アンジェロ・イシさん(武蔵大学教員)
      在日外国人から見た日本における人種差別の現状と課題
    • 石橋学さん(神奈川新聞記者)
      ヘイトスピーチ解消法の地方における実効化の現段階
  • 参加申し込み:メールで参加申し込みができます。totama_0205@yahoo.co.jp宛に、お名前と連絡先を書い て、件名を「院内集会参加希望」として、5月9日までにお送りください。

『日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書2017』発刊!

外国人人権法連絡会では、毎年「日本における外国人・民族的マイノリティ人権白書」を発刊しています。その2017年版を、2017年3月31日付で発刊しました!

下記の通り、外国人・民族的マイノリティについて包括的に取り上げ、最新の状況を知ることができます。ぜひご一読ください。

jinkenhakusho2017

●1冊 1,000円(送料込み)

 ※10冊以上購入の場合は、8掛け

【購入方法】
購入を希望される方は、下記の連絡先まで、

①お名前(個人または団体名)
②送付先住所(郵便番号も含めて)
③電話番号
④e-mail
⑤希望冊数

を、お伝えください。お申し込み後、「人権白書」と郵便振替用紙を送ります。本が届いたら、郵便局で本代を振り込んでください。


【目次】

はじめに ~点描:憲法施行70年と「外国人の権利」

第1章●ゼノフォビアとヘイトスピーチ
1.ヘイトスピーチ解消法の成立
2.解消法成立後の政府の取り組み
3.川崎のヘイトスピーチ根絶運動
4.ヘイトスピーチ規制自治体条例
5.解消法とインターネット対策
6.選挙活動とヘイトスピーチ
7.李信恵さんヘイト裁判地裁判決
8.福岡差別張り紙刑事事件判決
9.沖縄高江での警察官の差別暴言
10.徳島県教組襲撃事件高裁判決
11.震災後の「外国人犯罪」の流言

第2章●移住労働者の受入れ政策
1.拡大する外国人技能実習制度
2.外国人介護労働者の受入れ拡大
3.「外国人家事支援人材」の労働権
4.外国人建設就労者受入事業
5.「強制帰国」に関する不当な判決
6.ベトナムからの技能実習生
7.相談事例に見るビルマ人実習生
8.技能実習生を支えるシェルター事情
9.日系人労働者の制度変更のはざま
10.「留学生」という名の労働力

第3章●“先進国”日本の外国人管理体制
1.日本の難民保護2016年
2.繰り返されるチャーター機強制送還
3.見直されない「新在留管理制度」
4.拡大し続ける在留資格取消し制度
5.「朝鮮」表示者への「誓約書」強要
6.入国審査における新たなテロ対策

第4章●移住女性の権利
1.JFC母子の人身取引
2.移住女性と在留資格
3.DV被害者と在留資格
4.シングルマザーとして生きる
5.勝手に離婚されてしまう協議離婚

第5章●マイノリティの子どもたちの権利
1.外国人生徒の進学問題
2.にほんご×こどもプロジェクト
3.「家族滞在」の高校生の進路問題
4.6年に及んだ桐生いじめ裁判
5.子どもの退去強制処分取消訴訟
6.朝鮮高校無償化除外、補助金停止
7.外国人学校の現況と二極化

第6章●地域の「多文化共生」と人権
1.自治体の多文化共生推進施策
2.外国人集住都市会議の推移と現状
3.非正規滞在者への行政サービス
4.熊本地震時の外国人被災者
5.震災7年目「ふくしま」の移住女性

第7章●国際人権基準とマイノリティの権利
1.琉球沖縄の要求
2.琉球・沖縄の表現の自由
3.アイヌ民族新法の制定に向けて
4.女性差別撤廃委員会審査とマイノリティ女性
5.マイノリティ特別報告者が見た日本
6.蓮舫議員「国籍問題」その前後左右

第8章●未解決のままの国家責任を問う
1.破綻した日韓合意
2.吉見義明氏名誉毀損裁判
3.元BC級戦犯者の立法運動
4.中国人強制連行国賠裁判
5.強制労働問題の現在
6.ビザ発給拒否・集会妨害国賠訴訟
7.「植民地歴史博物館」建設に向けて
8.無年金外国籍障害者・高齢者の運動

おわりに ~人種差別撤廃法の制定を求める

資料1.在日外国人の人口動態
資料2.ヘイトスピーチ解消法・国会決議
資料3.外国人人権法連絡会声明
資料4.移住連声明
資料5.共同通信社 外国人住民に関する全国自治体アンケート
『人権白書』バックナンバー目次一覧
「外国人人権法連絡会」とは

 

ECRI「ヘイトスピーチとの闘いに関する一般政策勧告15号」日本語訳

人種主義と不寛容に反対する欧州委員会(ECRI)が出した「ヘイトスピーチとの闘いに関する一般政策勧告15号」を、反差別国際運動(IMADR)が日本語に訳しました。以下のウェブサイトにアップされています。

反差別国際運動(IMADR) http://imadr.net/ecri-gpr15-japanese/ (更新日:2017年4月14日)