学生支援緊急給付金制度に対する署名のご案内

文部科学省が2020年5月29日(金)に発表した学生支援緊急給付金制度の申込は始まっていますが、留学生への加重要件及び朝鮮大学校の学生排除という差別は是正されていません。
これに対し、学生たちが中心になった制度の是正を求める新たな署名呼びかけが始まりました。ぜひ、ご協力ください。

署名はこちらから⇒https://docs.google.com/forms/d/1bCq1SaZ75pc5ds4PImnov7km2HqRc3TPr9_lndUFsjo/viewform?edit_requested=true

【概要】(上記リンクより引用)
日本に住むすべての外国人学生に「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」の制度適用を求める署名

日本に住むすべての外国人学生に差別なく学びの権利を保障してください!

文部科学省は5月19日、新型コロナウイルス感染症拡大による影響で生活が困窮し、学びを継続することが困難となった学生などを対象として、「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」(以下、「緊急給付金」)の創設を発表しました。
しかし、本制度は次の2点において、日本で学ぶ外国人学生に対する重大な差別を含んでいます。

第一に、外国人留学生にのみ「成績優秀者」の条件が課せられている点です。
日本で学ぶ留学生の多くは、家族から自立し、アルバイトをすることで学費と生活費をまかないながら学業を継続しています。コロナウイルス禍による生活困窮者に対する「学びの継続」のための現金給付こそが本制度の趣旨であるにもかかわらず、困窮状況とは関係のない学業成績による要件を留学生に対してのみ設けることは、明らかな国籍差別であり、政府が推進する「留学生30万人計画」など、留学生誘致政策とも矛盾します。「日本に学びに来てください」と留学生を呼んでおきながら、日本で多くのことを学ぶため苦学している留学生を学びの場から突き放すような制度であってはならないと考えます。

第二に、「緊急給付金」の支給対象から朝鮮大学校を排除している点です。
文部科学省は、朝鮮大学校は各種学校であり高等教育機関であることの担保がないため支給対象には入らない、との理由で「緊急給付金」制度から同校を除外しています。しかし、1998年、京都大学が朝鮮大学校卒業生の大学院受験を認め、合格したことを契機に、文部科学省は1999年8月、学校教育法施行規則を改正し、大学院入学資格を拡充しました。その結果、入学資格がなかった朝鮮大学校も外国大学日本校も入学資格が認められることになりました。その後、法務省や厚生労働省も関係規範を改正し、同校卒業生にも、旧司法試験第一次試験免除(2002年)、社会福祉士及び介護福祉士受験資格(2012年)が認められました。朝鮮大学校が高等教育機関であることの担保がないという文部科学省の説明は、上記の法制度や事実と矛盾しています。
朝鮮大学校に通う学生たちは、日本に最も長く住む特別永住者であり、そのルーツは、日本の朝鮮植民地統治期に、生活苦や戦時労働動員などによって、朝鮮半島から日本に多くの朝鮮人が渡ってきたことにあります。文部科学省は、このような実態から目を背けているのではないでしょうか。

「緊急給付金」制度における、留学生に対する要件荷重や朝鮮大学校の排除は、締約国に対し「教育についてのすべての者の権利を認める」とした社会権規約第13条1項をはじめとした国際人権基準に反するものです。また、国連人権高等弁務官事務所は、新型コロナウイルスの世界的流行に際し、「誰ひとり取り残さない」ことを原則とし、「排除されるおそれがあるかもしれない人々(マイノリティ、移住者など)に対し特段の配慮が必要」と指摘しています。
私たちは、「緊急給付金」制度における不当な差別を是正するため、当事者自身が声を上げることが重要だと考え、日本で学ぶすべての外国人学生の差別なき学びの権利を求める声を集めるプラットフォームとして、この度、「在日外国人学生の学びの権利を考える会」を立ち上げ、本呼びかけ文を発表することにしました。

私たちは、「緊急給付金」制度において、以下の2点が是正されるよう文部科学省に強く求めます。

1、外国人留学生にのみ課している「成績優秀者」の要件を撤廃し、日本人学生と同様の要件で緊急給付金を支給すること。

2、朝鮮大学校を「緊急給付金」の支給対象に含むこと。

どうか、多くの方々が賛同していただき署名していただけるよう心より願っております。

【発起団体】
在日外国人学生の学びの権利を考える会

※注意事項
集まった署名は、2020年7月に発起団体の代表が文部科学省に提出します。個人情報は上記以外の目的で使用することはありません。

 


この問題については、以前に当会を含めた5団体による声明発表と要請行動を行っております。合わせてご覧ください(下記リンクを参照)。

【声明】
「『学生支援給付金』に関しすべての困窮学生への給付を求める声明」(2020年5月29日付)
「NGO Joint Statement: Calling for the Provision of the “Cash Handouts to Support Students” to All the Students in Need 英訳版」(2020年5月29日付)

【要請行動の報告】
「文科省「学生支援給付金」に対する要請行動のご報告」(2020年5月31日付)

在日コリアンへのヘイトクライムを強く非難し、国と市に具体的な対策を求める声明

2020年6月12日 外国人人権法連絡会

本日6月12日、本年1月の川崎市ふれあい館への脅迫年賀状及び1月27日の同館爆破と在日コリアンへの加害を予告する脅迫葉書送付の連続犯罪の被疑者が逮捕されたことが報道された。

これらの犯罪により、ふれあい館の利用者数は一時期前年比3分の1減少し、利用者、職員、近隣の住民たちは恐怖、緊張を強いられた。とりわけその属性によりターゲットとされた在日コリアンを苦しめつづけた悪質なヘイトクライムであり、到底許すことはできない。

当連絡会は「卑劣な『在日コリアン虐殺宣言』年賀状を許さず、国と市に緊急対策を求める声明」(1月20日付)、「在日コリアンに対する相次ぐ卑劣な犯罪予告を許さず、政府に緊急対策を求める声明」(1月29日付)及び約5万通の署名提出などで国と市に緊急対応を求めてきた。今回の逮捕により警察がヘイトクライムを放置しないとの姿勢を示し、被害者に一定の安心をもたらしたことは評価したい。

しかし、政府はこれまでヘイトクライム対策を一切怠ってきた。ヘイトクライムは、その社会において歴史的構造的に差別されてきた属性を有する人々に対する迫害であり、直接名指しされた者のみならず、その属性を有する者すべてにとって、自分も狙われ、いつ実際に襲われるかとの日常的な恐怖、屈辱感、絶望感に落としいれる。また、社会にその属性をもつ人々を差別し攻撃してかまわないとの雰囲気が醸成され、暴力の連鎖、ジェノサイドや戦争ともつながり社会を破壊することからも、一般の犯罪と比べて害悪が深刻で、直ちに止める必要性が高く、日本も加盟している人種差別撤廃条約はヘイトクライムを厳しく処罰することを求めている。同条約の実施監督機関である国連人種差別撤廃委員会からは、日本はこれまで4回にわたる審査の度に、ヘイトクライムを法規制するよう強く勧告されてきた。

政府は、同委員会に対し、2001年以降、日本の刑事裁判手続きにおいて、人種主義は動機の悪質性として適切に立証され、裁判所において量刑上考慮されていると説明しつづけてきたが、これまで民族・国籍差別を理由として重く処罰された例は見当たらない。このような説明は虚偽に等しく、対策をとらないための逃げ口上といえる。

今回の脅迫文書のみならず、朝鮮学校及び生徒たちへの脅迫、器物損壊、暴行、傷害、威力業務妨害などのヘイトクライムが繰り返され、ネット上でも脅迫、名誉毀損罪などにあたる投稿が連日大量に投稿されるなど、日本社会に在日コリアンに対するヘイトクライムは蔓延している。しかもそのほとんどは、捜査・訴追さえされずに事実上不問に付されて来た。

アフリカ系アメリカ人であるというだけで警官に殺されうるアメリカの状況と同様に、日本においては、在日コリアンであるというだけで襲われうる状況がある。それゆえ民族学校の生徒たちは長らく学外で民族衣装の制服を着ることもできず、学外では民族の言葉をしゃべらない様に我慢する生活を強いられてきた。

4年前の2016年に施行された「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」は、日本ではじめての反人種差別法といえるが、禁止規定すらなく、ヘイトクライムの歯止めにはなっていない。

最後に、川崎市は「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」に基づき、市長が今回の犯罪を差別に基づくもので許されないとして非難し、市が威力業務妨害罪で告訴し、ふれあい館の警備を強化するなどの対策をとってきたことは評価できる。ただ、被疑者は元川崎市の職員と報道されており、今後の防止のためにも、市が実際に差別を根絶する担い手となっていくためにも、自らをただす取組が望まれる。

以上より、

  1. 国は、今回のヘイトクライムについて、自らの国連に対する長年の説明の通りに、人種差別撤廃条約上の義務に合致するよう、裁判において差別性を明白にし、ヘイトクライムとして処罰するよう取り組むべきである。
  2. 国は、ヘイトクライムをなくすため、速やかに政府内にヘイトクライム対策担当部署を設置し、マイノリティ当事者や人種差別撤廃問題の専門家と協力しながら、調査研究、警察官・検察官などへの研修、さらに期限を区切って具体的な目標と措置を含む制度設計をすべきである。
  3. 国は、ヘイトスピーチ・ヘイトクライム根絶のために、人種差別を禁止し、特に悪質なヘイトスピーチ及びヘイトクライムを処罰し、人種差別撤廃教育を行い、警察官・検察官・裁判官をはじめとする全公務員に対する人種差別撤廃研修を制度化するなど、人種差別を根絶するための包括的な政策と法整備を行うべきである。
  4. 川崎市は、今回の事件を解明し、再発防止のため、定期的な全職員の人種差別撤廃のための研修、首長・市議も含めた人種差別を禁止する倫理規定整備、職員間のレイシャルハラスメントの禁止規定の整備などの具体的な対策をとるべきである。このような対策は川崎市以外のすべての地方公共団体において求められる。

 


文中で言及されている声明と署名の詳細は下記のリンクからご覧いただけます。

声明文
「卑劣な『在日コリアン虐殺宣言』年賀状を許さず、国と市に緊急対策を求める声明」(1月20日付)
「在日コリアンに対する相次ぐ卑劣な犯罪予告を許さず、政府に緊急対策を求める声明」(1月29日付)

署名に関する詳細情報
「川崎市脅迫葉書に関する署名提出のご報告と、今後の署名活動」
「川崎市脅迫葉書に対する声明への追加署名を提出しました」
「脅迫葉書に対する2つの声明文に対する賛同団体一覧」


ふれあい館のHPにて、被疑者逮捕を受けてのコメント(12日付)が発表されています。

「ふれあい館に対する、差別脅迫年賀状・爆破予告被疑者逮捕について」


川崎市のHPより、元川崎市職員の再逮捕を受けて市長のコメント(12日付)が掲載されています。

「ふれあい館への脅迫はがき送付事件等の元川崎市職員再逮捕に関する川崎市長コメント」


別途詳細につきましては、各メディアによる報道をご確認ください。

2020年6月12日
共同通信「交流施設に脅迫はがき送付疑い 元川崎市職員を再逮捕」
NHK 首都圏NEWSWEB「元川崎市職員在日コリアン脅迫か」
NHK「在日コリアン脅迫するようなはがき送ったか 川崎市元職員逮捕」
朝日新聞デジタル「元川崎市職員がヘイトはがき 威力業務妨害容疑で逮捕」
神奈川新聞 カナロコ「川崎市ふれあい館に脅迫文 容疑で市の元職員を再逮捕」
産経新聞 THE SANKEI NEWS「国際交流施設に脅迫はがき送付疑い 元川崎市職員を再逮捕」
Ch.OPEN YOKOHAMA「川崎市の交流施設に脅迫文か 男を再逮捕」

2020年6月13日
東京新聞 TOKYO Web「『母親たち 心配強かった』元市職員、脅迫容疑で再逮捕 ふれあい館、はがき送付を批判」
神奈川新聞 カナロコ「ふれあい館への威力業務妨害容疑 元川崎市職員再逮捕」

2020年6月16日
神奈川新聞 カナロコ「『韓国に帰ればいい』 爆破予告の男、同僚男性に差別発言」
Ch.OPEN YOKOHAMA「脅迫はがきで元市職員逮捕 川崎市長『条例の周知徹底を』」

2020年6月17日
神奈川新聞 カナロコ「『あってはならない』 元川崎市職員差別発言を市長が非難」

東弁「学生支援緊急給付金に関する会長声明」で、差別的制度の是正を求める

2020年6月11日、東京弁護士会が「学生支援緊急給付金に関する会長声明」を発表し、同給付金について、①外国人留学生のみ「成績優秀者」という条件を付けたこと、②朝鮮大学校を対象外としたこと、を「合理的理由のない差別的制度」と指摘し、是正を求めました。

https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-582.html

6月9日『ネットと人権』オンラインシンポジウム

「ネット上の人権侵害 被害者救済のために法が今、すべきこと」

    • 日時 2020年6月9日(火)15:30-17:00
    • 会場 Zoomを使ったオンライン開催
    • プログラム:
      清水陽平さん(弁護士/法律事務所アルシエン)
      「ネット中傷への法的対応における現状と課題」
      上瀧浩子さん(弁護士/京都弁護士会)
      「ネット上の複合差別と闘う」
      金尚均さん(龍谷大学教授/刑法)
      「ドイツにおけるネット上の人権侵害への法規制」
      宮下萌さん(弁護士/IMADR)
      「インターネット上の人権侵害情報対策法モデル案の解説」
      師岡康子さん(弁護士/外国人人権法連絡会)
      「総務省『発信者情報開示の在り方に関する研究会』へのコメント」

※本集会はビデオコミュニケーションツール「Zoom」を使ったオンライン集会です(参加者側の映像が主催者側に映ることはありません)。6月8日(月)までに下記フォームからご登録いただければ、招待リンクをお送りします。
https://forms.gle/SHudVVG5dS3vrTcj9

もう20年以上、ネット上では日々、当たり前のように人権侵害が繰り返されています。そしてそのたびに被害者は傷つき、恐怖し、それでも声を上げて二次被害にさらされながら闘い、あるいは何もできず沈黙し、そしてときに、そうでなければ生きられたはずの人生の可能性を、絶たれてきました。
しかしここまでの事態に直面してなお、日本の法律はネット上の人権侵害について、具体的な対応策を示すことができていません。今必要なのは表現の自由か法による規制かという使い古された議論を繰り返すことではなく、被害者救済のための実効的で現実的な法制度について、精緻に議論することです。
ネット上の人権侵害の被害者を救済するために、法は今、何をすべきか。この問題を第一線の専門家とともに考え、そして実現していくための場として、本集会を行います。

主催 ネットと人権法研究会
連絡先 cyberhumanrightslaw@gmail.com
※嫌がらせやネットでの中傷等を目的としたご参加は固くお断りします
・・・・・・・・・・・・
なお、同研究会が昨年末に院内セミナーで発表した「インターネット上の人権侵害情報対策法モデル案」は下記のウェブサイト上でみることができます。
https://cyberhumanrightslaw.blogspot.com

文科省「学生支援給付金」に対する要請行動のご報告

5月29日(金)、文部科学省が公表した「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」に対し共同声明※1を出した移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、外国人人権法連絡会、人種差別撤廃NGOネットワーク、のりこえねっと、反差別国際運動(IMADR)の5団体と、外国ルーツの学生・留学生・朝鮮大学校の学生と共に要請行動を行ないました。

※1「学生支援給付金」に関しすべての困窮学生への給付を求める声明(5月25日付)

また、文科省との交渉の他、インターネット署名サイトChange.Org※2のキャンペーンで集められた約5万5千筆の署名提出の立会いと記者会見も開催しました。

※2「外国人学生に日本人学生と同じ基準で現金給付をして下さい!

要請の内容は、声明で求めた以下の3点です。

  1. 支給対象者が43万人と非常に少なく、困窮している全ての学生を対象とすること。
  2. 留学生にのみ成績上位の要件が設けられていることは、国籍差別にあたること。
  3. 「一条校」(学校教育法第1条)及び日本語教育機関以外の学校が支援から外されており、朝鮮学校などの外国人学校も対象とすること。

記者会見には、当会から田中宏共同代表と師岡康子事務局長が参加し、主に朝鮮大学校が対象外となっている点を指摘しました。師岡事務局長は「国際人権条約違反の差別」と批判。合わせて田中共同代表からは、日本による朝鮮半島への植民地支配の歴史とその責任という視点から問題点を明らかにしました。

「朝鮮人の民族教育の保障は日本の責務だが、それを果たさず外国人の教育を保障する政策がないという問題が背景にある」「貧しきを憂えず、等しからざるを憂う社会であってほしい」

(田中宏共同代表の発言より)

 

今回の要請行動では、残念ながら文科省から満足のいく回答を得ることは出来ませんでした。状況を改善させられるよう、今後も要請を行なってまいります。


詳細につきましては、各メディアから報道がされていますのでご覧ください。

共同通信「留学生だけ『成績上位』撤回を 5万5千筆の署名提出」
毎日新聞「『留学生のみ成績条件は問題』 困窮学生『給付金』で人権団体が文科省に改善要請」
西日本新聞「『困窮留学生全てに給付金を』 成績要件撤廃求め5団体が署名提出」
神奈川新聞「困窮学生への国支援策 留学生らが成績要件撤回など求める」
朝鮮新報「〈学生支援緊急給付金問題〉“皆が共通して困難な時期になぜ?”/会見で指摘された3つの問題点」
BuzzFeed 「『このままでは勉強が続けられない』3人の学生が語ったこと。困窮学生への緊急給付金のあり方とは」

NGO Joint Statement: Calling for the Provision of the “Cash Handouts to Support Students” to All the Students in Need


May 25, 2020

NGO Joint Statement
Calling for the Provision of the “Cash Handouts to Support Students” to All the Students in Need

On May 19, the Ministry of Education of Japan announced the establishment of the scheme of the Emergency Cash Handouts to Support Students for Their “Continuous Learning”, which aims to grant cash benefits to higher education students who face financial difficulties as a result of the COVID-19 pandemic so that they do not need to give up their education. We welcome the launching of the support for the “continuous learning” of students in need.

First of all, however, the number of eligible students under the scheme is some 430,000, which is very small and represents 10% or so of the students in higher education institutions and Japanese language schools. According to the survey on the students’ living conditions in 2016/17, conducted by the Japan Student Services Organization (JASSO), the proportion of the students who have problems or difficulties in pursuing their education only on the basis of the payment by their families and who receive no financial support from their families amounted to 36.0% in universities (full-time), 42.5% in master’s courses and 53.1% in doctor’s courses. Although approximately half of students in higher education take up part-time jobs to continue their education, many reports on the media show that there has been a sharp reduction in opportunities for students to work part-time, including because of official requests to refrain voluntarily from doing businesses in efforts to prevent the spread of COVID-19. Although the eligibility criteria are linked with the reception of scholarships or the use of student loans (the criteria (6)), it is unreasonable to subject the present scheme to such conditions because it is aimed at supporting those who are facing difficulties because of COVID-19. The Ministry of Education should delete the criteria (6) and provide all students in need with the cash handouts.

Secondly, the scheme establishes additional criteria (7) only for students from overseas, requiring them to rank high in terms of academic performance. The purpose of the cash handouts is, however, to help students stay in educational institutions so that they can be involved in “continuous learning” amidst difficult living conditions caused by the COVID-19 pandemic. It is obvious discrimination on the basis of nationality to establish such different criteria only for students from overseas, in spite of the fact that the difficulties they face have nothing to do with their academic performance.

Since the launch of the “300,000 International Student Plan” in 2008, the Government of Japan has maintained the policy to accept students from overseas in a proactive manner. More than 340,000 persons stay in Japan with the “student” visa (as of the end of the year 2019), many of whom work part-time to keep studying in Japan. According to the survey on the living conditions of privately financed international students in 2017/18, conducted by the JASSO, approximately half of their earnings come from part-time jobs, and 75.8% of privately financed international students work part-time. The discriminatory criteria for the cash handouts, announced in this context, illustrate the opportunistic nature of Japan’s policy on students from overseas, which is far from the philosophy of “international contribution”.

According to the media coverage, the Ministry of Education states that “since the eligibility is to be examined by each university or other higher education institution, those students who do not meet the criteria may be eligible for the cash handouts”. If this is the case, there is no need to establish such criteria. We demand that the criteria 1(7) only for students from overseas be deleted and that the same criteria be applied to them on an equal basis with other students.

Thirdly, students who attend educational institutions other than “Article 1 schools” (schools defined in Article 1 of the School Education Act) or Japanese language schools are excluded from the scheme, even though they may also face risks to “continuous learning” as a result of the COVID-19 pandemic.

Japan is one of the States Parties to the Convention on the Rights of the Child, the International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights and the International Convention on the Elimination of All Forms of Racial Discrimination, all of which require the government to ensure the right to learn for all children living in Japan on an equal footing, without discrimination on the basis of nationality, ethnic origin or other status.

In the autumn in 1998, a Graduate School of Kyoto University allowed a graduate from Korea University (Tokyo), a school in the ‘miscellaneous’ category, to take its entrance examination and admitted the student who passed the exam. The Ministry of Education responded in August of the next year (1999) by amending the Ordinance for the Enforcement of the School Education Act to expand the qualifications for entering graduate schools. Consequently, graduates from Korea University, which is not an Article 1 school but a school in the ‘miscellaneous’ category, as well as graduates from departments in Japan of foreign universities – Japan campus of Temple University (USA), Hakodate campus of Far Eastern Federal University (Russia), Japan campus of Tianjin University of Traditional Chinese Medicine, Tokyo campus of Beijing Language and Culture University and Tokyo campus of Shanghai University, all of which are not Article 1 schools – are now qualified for entering graduate schools of universities in Japan.

In the light of the international human rights standards as well as the above-mentioned history, students of these schools should also be included in the scheme to support “continuous learning” of those in need. Korea University and some of the departments in Japan of foreign universities have postgraduate courses, which should also be included in the scheme.

On the basis of the above, we strongly demand that the Ministry of Education and the Government of Japan withdraw the criteria (6) and (7) for receiving the cash handouts, with a view to including all students in higher education institutions, including Korea University and departments in Japan of foreign universities, in the scheme to support their “continuous learning”.

 

signatories
Solidarity Network with Migrants Japan (SMJ)
Japan Network towards Human Rights Legislation for Non-Japanese Nationals & Ethnic Minorities
Japan NGO Network for the Elimination of Racial Discrimination (ERD Net)
NORIKOE Net
The International Movement Against All Forms of Discrimination and Racism (IMADR)

contact: Solidarity Network with Migrants Japan (SMJ)
Tel: +81-3-3837-2316   smj@migrants.jp

 

「学生支援給付金」に関しすべての困窮学生への給付を求める声明

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、外国人人権法連絡会、人種差別撤廃NGOネットワークのりこえねっと反差別国際運動(IMADR)の5団体共同で、表題の声明を5月25日、発表しました。

*英語版(English)https://gjhr.net/2020/05/25/60/


2020年5月25日

「学生支援緊急給付金」に関しすべての困窮学生への給付を求める声明

5月19日、文部科学省は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で困窮する大学生らが、修学をあきらめることがないよう現金を支給する「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」(以下、「給付金」)の創設を発表した。困窮する学生の「学びの継続」のための支援策が打ち出されたことは評価したい。

しかし、第一に、支給対象者は、高等教育機関および日本語学校に学ぶ学生の1割強にすぎない43万人と非常に少ない。日本学生支援機構(JASSO)の「2016年度 学生生活調査結果」によれば、家庭からの給付のみでは、修学不自由・困難及び給付なしの者が、大学(昼間部)では36.0%、大学院修士課程と博士課程では、それぞれ42.5%と53.1%にも上っている。アルバイトをすることで学業を継続している者が半数前後いるが、新型コロナウイルス感染症拡大による「自粛」要請等により、学生のアルバイトが激減したことは多数報道されている。新型コロナによる困窮にたいする支援である「給付金」を、従来からの奨学金の受給と結びつけるのは不合理であり、給付要件⑥を削除し、困窮するすべての学生を救済すべきである。

第二に、「給付金」の対象のうち留学生にかぎって成績上位の要件が設けられているが、今回の現金支給の目的は、コロナウイルス禍における生活困窮のなかでの「学びの継続」のための修学支援である。留学生の困窮状況と学業成績は関係ないにもかかわらず、留学生に対してのみ異なる基準を設けることは、明らかな国籍差別である。

日本政府は、2008年に「留学生30万人計画」を掲げて留学生を積極的に受け入れる政策をとってきた。2019年末に「留学」の在留資格をもつ者は34万人を超え、その多くがアルバイトをしながら日本で学んでいる。JASSOの「2017年度 私費外国人留学生生活実態調査」によれば、収入の半数前後をアルバイト収入が占め、私費留学生全体の75.8%がアルバイトに従事している。こうしたなか示された「給付金」の差別的基準は、「国際貢献」とは程遠い日本の留学生政策の利用主義が問われている。

なお、報道で、文科省は「対象者の審査は各大学などが行うため、同省が示した要件を満たさない学生らでも給付対象になる可能性はある」と述べているが、そうであるならば、このような要件を設ける必要はない。直ちに留学生のみに限定した要件(支給対象者の要件⑦)を撤回し、他の学生と同じ基準によることを求める。

第三に、新型コロナウイルス感染症の影響により「学びの継続」の危機に直面している学生には、「一条校」(学校教育法第1条)及び日本語教育機関以外の学校に学ぶ者がいるが、支援対象から外されている。

日本が加盟している子どもの権利条約、社会権規約、人種差別撤廃条約は、日本に住むすべての子どもたちに国籍、民族などで差別することなく等しく学ぶ権利を保障することを求めている。

1998年秋、京都大学大学院が、各種学校である朝鮮大学校修了者の受験を認め、合格した。これを受けて、文部省(当時)は、翌1999年8月、学校教育法施行規則を改正して、大学院入学資格を開放した。その結果、一条校でなく各種学校の朝鮮大学校だけでなく、外国大学日本校(米・テンプル大学日本校、ロシア極東大学函館校、天津中医薬大日本校、北京語言大東京校、上海大学東京校、いずれも一条校でない)の修了者が、日本の大学の大学院入学への道が開かれた。

国際人権基準及びこの経緯から考えると、これらの学校の学生も今回の「学びの継続」のための給付金の対象者に加えるべきである。なお、朝鮮大学校、外国大学日本校には、大学院の課程をもつものもあり、やはり対象とすべきである。

以上のように、私たちは、文科省並びに政府に対して、給付要件⑥及び⑦の撤回削除を求めるとともに、朝鮮大学校や外国大学日本校を含むすべての高等教育機関で学ぶ学生を給付金の対象として、「学びの継続」を支援するよう強く求める。

以上

特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
外国人人権法連絡会
人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)
のりこえねっと
反差別国際運動(IMADR)

【本声明に関するお問い合わせ先】
移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連):TEL 03-3837-2316  smj@migrants.jp